「等式の変形」
2022/4/26
現在、中学2年生の数学で「等式の変形」をやっています。
この「等式の変形」ですが、非常に苦手にする生徒が多いです。
何度もやって慣れている、自分の感覚としては、
「なんでこんな簡単なことが理解できないんだ…」
と思うのですが、初めて目にする生徒には難しく見えるようです。
ただ、この「等式の変形」が難しく感じられるのは、「初めてだから」という意外に、別の側面もあるように思います。
たし算はわかるけど…
「等式の変形」とは、簡単に言えば「文字」と「=」を使った移行です。
例えば
「a=b+c」
という文字式があったとします。
この式を[b]について解くと
「b=a-c」
となります。
これが等式の変形です。
例にあげたような、たし算を使った式の移行であれば、みんなだいたい理解できます。
ですが、
「a=bc」
といったような、かけ算の形になると、途端に思考停止に陥ります。
この式を[b]について解くと
「b=a/c」
となります。これがわからない。
多くの子が、「a=b+c」の時と同じように「b=a-c」という風に答えてしまいます。
「本質的な理解」ができていない
この原因は、1年で習う「方程式」までさかのぼります。
方程式を習う時、最初に「等式の性質」というものを習います。
詳細は省きますが、
「両辺に同じ数を、足しても、引いても、かけても、割っても、結果は変わらない」
というものです。
この部分の理解がきちんとできていないので、中2になって「等式の変形」をやると、わからなくなってしまいます。
等式の性質を習った後に、計算のやり方として「移行」をやります。
「移行」では
「『=』をまたいで反対側にいくと、符号が変わる」というやり方を習います。
この移行の計算のやり方だけ覚えてしまっているため、「等式の変形」の時に、判で押したように同じ間違えをします。
1年の時に
「とりあえず計算が解ければ、それでいいだろう」
というようにラクをしていると、2年生になって苦労することになります。
どれだけ力説しても
このようになることがわかっているので、1年の時に散々「等式の性質」については指導します。
「ここをきちんと理解しておかないと、後で苦労するよ」
「等式の性質は入試でもよく出るから、覚えておいたほうがいいよ」
出てくるたびに、繰り返し指導します。
ですが、その時点できちんと理解する生徒はほぼいません。目先の「ラク」に流される子の方が圧倒的に多い。
多くの子がそうなのですが、
「とりあえず目先の問題だけ解ければ、それでいいだろう」
という姿勢が多いのが気になります。
「なぜ、そのようになるのか?」
といった、本質的な部分を追求する姿勢が全体的に弱い。
ここが一番の問題点です。
長い目で見る
今は多くのものが「与えられすぎている」ように思います。
もう少し
「試行錯誤しながら、自分の頭で色々と考える」
という習慣を、小さいうちに持っておいた方がいいような気がしています。
また、すぐに結果を求めがちなのも気になります。
「とにかく簡単に結果が出る方法を教えてくれ」
という傾向が強いです。
「やり方」だけ覚えてしまえば、結果は出しやすいのかもしれません。
ですが、それではどこかで必ず行き詰まります。
「転ばぬ先の杖」を何本も与えられすぎた結果、子どもたちは失敗することを極度に嫌っている。
そのような気がします。
「自分の頭で考える」習慣のある子は、その時はパッとしなくても、後になって伸びることがあります。
「先を見て、じっと待つ」
我々大人世代には、こうした姿勢も時に必要ではないか、と生徒を指導していると考えさせられます。
☆YouTubeチャンネルもやっています
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ぜひご覧ください。