すぐに芽が出なくとも
2022/12/2
高校入試で結果が出せた生徒もいれば、思うような結果が出なかった生徒もいます。
今日はそんな生徒のお話をしたいと思います。
一般的な「中学生男子」
Kくんは中学1年生の終わり頃、塾に来ました。
国語と英語が苦手な生徒でした。
非常に素直な性格で、塾では真面目に、一生懸命勉強していました。
ですが、家では動画やゲームにはまっていたようで、「家ではなかなか勉強しない…」とお母さんが嘆く。
そんな「普通の」中学生男子でした。
目標は「豊科高校」でしたが、1・2年の成績は平均点を行ったり来たり。
「今の感じだと、『ギリギリ受かるかどうか』というところだな」
「あとは中3になって、どれだけがんばれるか、だな」
そう思っていました。
中3になっても状況は変わらず
中3になっても、成績は一進一退。
なかなか向上していきません。
そんな状況が続いた1学期の終わり。
1つの決断が下されます。
保護者の意向もあり、塾を変えることになりました。
私としては、正直
「これからという時に…」
という思いでしたが、それまでに思うような結果が出ていませんでした。
変えるタイミングとしてもギリギリの所でしたので、保護者の立場からすれば、当然の判断だったと思います。
Kくん自身とは非常にいい関係を築けていたので、
「違う塾に行っても、ちゃんと勉強するんだぞ」
「結果が出たら、報告に来いよ」
最後にそういう話をして、別れました。
高校入試の結果
時は流れ、その年の後期選抜試験の前、Kくんから連絡がありました。
「あれ、公立を受けるのであれば、今連絡来るのはおかしいな」
そう思って電話で話すと、
「私立の都市大塩尻に、推薦入試で合格しました。」
という報告でした。
合格の報告は嬉しかったですが、一方で
「そうか。公立は受けなかったんだな」
とも思いました。
その時にお母さんとも話しましたが、
「塾を変えてみたけれど、あまり変わらなかった」
とおっしゃっていました。
ちなみに、自分が中3受験生に「塾を変える」ことをあまり勧めないのは、この時の経験があるからです。
「高校入試は思うような結果ではなかったかもしれないけど、高校で勉強すればまた追い越せるから、高校でがんばれ!」
そういって送り出しました。
高校進学後
1年後、Kくんが塾に遊びに来ました。
「どうしたんだろう?」
と思って聞くと、
「実は2年から、1つ上のクラスに編入することになりました!」
という報告でした。
聞くと、高校に進学してからKくんは、
「毎日夜遅くまで自習室で勉強した」
「その結果、クラスでトップの成績を維持した」
「2年に進級するにあたり、先生から『上のクラスで頑張ってみないか』と言われた」
とのことでした。
「そうか、高校で勉強がんばっているんだな」
そう思うと、とても嬉しくなりました。
「先生の塾で、テスト前の『カンヅメ』で長時間勉強するのに慣れていたので、高校でも勉強、がんばれました」
という言葉をかけてくれたので、
「泣かせること言うなよ…」
と照れましたが、とても嬉しく思いました。
大学入試
それから時は流れ、Kくんが高3の年になりました。
大学入試の合格者が出始めた頃、ふと
「そういえば、Kくんは今年大学入試だな」
「あの調子で努力していれば、きっと大学入試もうまくいくことだろう」
そう思っていると、一本の電話が鳴りました。
Kくんからでした。
電話があった時点で、
「きっと大学合格の報告だな」
と薄々わかりましたが、そこはおさえて
「おおっ、久しぶり。どうした?」
と聞くと、やはり
「大学に総合型試験で合格しました!」
という報告でした。
「よかったね~。いや、高校でがんばっているみたいだったから、大学に合格すると思っていたよ」
と言うと
「先生のおかげです。いまでも中学の時に教わったやり方で、英単語覚えていますよ!」
との言葉。
「ずいぶん泣かせるセリフを言うようになったねぇ~」
と、しみじみ思いました。
高校入学が「ゴール」ではない
Kくんは、高校入試では、思い通りにいきませんでした。
本人なりに頑張っていたと思いますが、厳しく言えば「甘さ」もあったのだと思います。
ですが、高校入試で味わった「悔しさ」をバネに、3年間努力を重ね、大学入試では見事に「リベンジ」を果たしてくれました。
この経験が、これから先のKくんの人生でもきっと支えになることと思います。
塾の仕事の大目標は
「生徒を志望する高校に進学させる」
ことだと思います。
ですが、仮に思うような結果にならなくても、その先の高校で努力し、結果を残すことができる。
そのように「努力をすることの尊さ」ということも、同時に身につけていってほしい。
Kくんは「努力をすることの尊さ」を学んでくれました。
「自分の指導してきた方向性は、間違っていなかったのかな」
そのことを何よりも感じさせてくれた生徒でした。
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