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混迷深める中学英語

2021/5/14

新年度が始まって1ヶ月が経ちました。
予想されていたことですが、
「中学英語」の混迷ぶりが徐々に
明らかになってきています。
今年から教科書が変わったことにより、
特に「英語」が難しくなりました。
昨年、見本を見た時から、
「これは荒れるな…」
と思っていたのですが、
その予想が現実のものとなってきています。
表面的には、まだそれほど
大きな変化を感じていない生徒の方が
多いかもしれません。
ですが、現場で指導する立場からすると
「これはまずい…」と感じることが
すでにいくつか起こり始めています。
一番危機感を覚えるのは「中1」です。
これまで、中1の最初は
「アルファベット→単語
→be動詞→一般動詞→疑問詞」
と順を追って勉強していました。
これが、今年からは
「疑問詞までは小学校で習得済み」
という状態でスタートしています。
ただ、小学校の英語教育は
「子供たちに、英語に親しみをもたせる」
点に重点が置かれているのが現状です。
「楽しく学びましょう!」という
お遊戯的な要素が強いため、
中学の英語教育に耐えられるような
基礎学力がほとんど身についていません。
そのため、「小学校と中学校のギャップ」
がとても大きくなってしまっています。
昨年までは、一番最初の単元「Unit1」では
be動詞しか出てきませんでした。
ですが、今年からは
be動詞、一般動詞がまとめて出てきています。
加えて助動詞「can」を学ぶことになっています。
※「can」は去年までは中1の最後の方、
Unit10で学んでいた内容です。
その結果、どうなっているか。
まず「be動詞」と「一般動詞」の区別がつかずに
混乱している生徒が続出しています。
たとえば、
「You are play tennis.」
と答え合わせをしていた生徒がいました。
その生徒に
「なぜ『are』がいらないかわかる?」
と聞いても答えられない。
「主語がYouだから」ということで、
be動詞の「are」を持ってきたの
だと思います。
ですが、
「一般動詞「play」がある場合、
be動詞はいらない。」
このルールを理解しようにも
「be動詞」と「一般動詞」についての
くわしい説明を受けていないので
「そもそも知らない」状態に
なってしまっているように感じます。
また「can」を使った英作文のところで
「She can singing well.」
という文を書いていた生徒がいました。
「canの後ろは『動詞の原形』が来るよね」
という説明をしましたが、
まだ中1の最初の段階では、
「動詞の原形」がよくわからないと思うので、
おそらくぼんやりとしか理解できていない
ように思います。
中学校の授業は、今のところ、
昨年までと同じくらいのペースで
進めているように感じられます。
現場をあずかる先生の立場から言えば、
「まだbe動詞もよくわからない生徒に
一般動詞や『can』は教えられない。」
といったところでしょうか。
1学期中間テストを行う学校の
テスト範囲を見ても
「アルファベットと単語」が
出題されるようなので、
今のうちからあまり難しいことは
テストに出さないように思います。
ですが、そうすると今度は
学年の終わりになって
「1年でやるべき内容が終わらない」
という状況になると思います。
そうなると、どこかで急にスピードが上がるか、
次の学年に問題を先送りにするか、
いずれかになると予想しています。
これまで自分は
「小学校は国語・算数をしっかり固める。
英語は中学校になってからで十分間に合う」
という考え方でした。
ですが、今回の学習指導要領の変更、
それから中1の現状を見て、
「小学校のうちに、ある程度の英語の
準備をさせておく必要がある」
と、考え方を改めました。
「塾」という立場からすれば
「おいしい話」なのかもしれません。
「小学校の英語授業だけでは中学で苦労します」
「高校入試は英語で大きく差がつきます」
「早くから準備しておいた方が有利ですよ」
このようにあおることができるからです。
おそらく広告物ではそのように言うと思います
(というか、実際に現実がそうなので
言わざるを得ない)。
ただ、そうなると、ますます
「家庭の経済力による学力格差」が
広がることになってしまう。
「なんだかなぁ…」というのが
正直な気持ちです。

ぜひご覧ください。

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