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日本の教育行政の問題点

2021/6/23

最近、こちらの本を読んでいます。
オックスフォード大学の教授である
苅谷剛彦先生が書かれた本です。
「コロナ後の…」というタイトルですが、
全体的には「日本の教育行政について」の
検証、提言といった内容となっています。
塾講師という立場ではありますが、
現場で生徒を指導していると、
「教育行政の方向性は、どうなんだろう…」
と思うことがたびたびあります。
そうした「モヤモヤ」とした
違和感が何なのか。
自分ではわからず色々と探しているのですが、
こちらの本を読んで、
「自分が探していた答えは、まさにこれ!」
と思いました。
色々と納得することが多かったのですが、
一番うなずいたのが、
「日本の教育は『ポジティブリスト』の
考え方である」
という点です。
将来にとって「必要だ」と思われることであれば
現状把握をすることなく、
次から次へと施策に盛り込んでしまう、
ということです。
たとえば
「これからの時代は英語が
話せなければならない」
「ITの時代において
『プログラミング』は必須能力」
「『アクティブ・ラーニング』によって
自分の意見を表現できなければならない」
ということで、
新しく指導要領に盛り込む。
ただ、
「じゃあそれを誰が教えるんだ?」
「子どもたちが消化しきれるのか?」
という視点がない。
現場の学校の先生が疲弊している状況を見ずに、
「理想」のみを掲げて施策を実施しようとする。
日本の教育にはそうした傾向が
あるように思います。
特に小学生の教科書を見ていて思いますが、
「今はこんなことまで小学校で習うんだ…」
と思うことがあります。
次から次へと「理想」が上から降ってくる結果、
学校の先生は消化できずに大混乱。
子どもたちは消化不良をおこし、
結局何も身につけることができない。
そんなことになっているような気がしています。
「ゆとり教育」の時にも思ったのですが、
一度「ダメ!」という烙印を押されたら、
検証することなく次の新しいものを探す。
こうしたことを日本の教育行政は
繰り返しているように思います。
今必要なのは、
「現在行われている教育の分析」
「これまで行われてきた教育で
結果が出ていること、出ていないことの分析」
「義務教育で子どもたちに『最低限』
身につけさせるべきことを考える」
ことではないかと思います。
個人的には、今回の新しい学習指導要領は
失敗すると思っていますが、
数年後、見直しとなる時に
ただ次の「新しい思想」を持ち込むだけではなく、
今行われている教育の状況を認識し、分析し、
その上で必要なことを考えていく。
そのようにしてほしいと思っています。
ぜひご覧ください。

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