自分なりに工夫する
2022/5/11
算数や数学を指導していると、「分数」の計算が苦手な子が多いのに驚きます。
その中で気になるのが「大きい数字で通分して間違える」ということです。
やり方は知っているが…
例えば、「5/12+7/20」という分数のたし算があるとします。
この場合、分母を「120」でそろえてから計算する子が多いです。
それでも解くことはできますが、数字が大きくなるため、途中のたし算で間違える可能性が高まります。
また、たし算はあっていても、約分をきちんとできずに間違える、ということもあります。
この問題であれば分母の最小公倍数は「60」なので、60で通分してから計算するのが一番速く、正確に解けます。
分母が2ケタの計算になると、通分で苦戦する生徒がかなり多いです。
最小公倍数がパッと出てきて計算できる生徒は、ほぼいません。
小さい公倍数で計算できればまだいい方です。
苦手な子だと「分母同士をかけ算すればいい」という「やり方」だけを何となく知っています。
なので、例題だと「12×20=240」ということで、240で通分をしようとして、計算する数字が大きくて、結局間違える、という風になります。
反復練習が足りない
分数の計算が苦手な生徒は、想像以上に多いです。
それは結局「反復練習が足りない」からです。
分数のたし算、ひき算のやり方はみんな知っています。
ですが、そこで満足して止まってしまっています。そのため、少し数字が大きい計算になると、途端に苦戦してしまいます。
反復練習を積み重ねることで、大きな数字の計算の時でも、小さな数字の計算の時と同じように計算することができる。
そうした「しっかりとした基礎力」が身についていると感じられた生徒は、正直なところ、まだ見たことがありません。
その点で、少し寂しさを感じています。
ですが、それは子どもたちに責任があるわけではありません。
今の小・中学生は「学ぶこと」が多すぎる気がしています。
もう少し「学ぶべきこと」を絞り、それを「徹底的に反復練習」させた方が、大人になった時にも役立つのではないか。そのような気がします。
工夫ができない
また、ある程度計算ができる生徒であっても、「う~ん…」と感じることがあります。
教わった通りのことはきちんとできるのですが、それを「自分なりに工夫して」やる、という姿勢が見られないからです。
反復練習をしていく中で「どのようにやれば、もっと効率的に進めることができるのか?」ということを自分なりに考える。
そうした姿勢を見せてくれる生徒がいないのがちょっと残念です。
今の生徒は全体的に素直です。
教えたことは、教えた通りにきちんと進めることができる子が多い。
ですが、そこで止まってしまっている子が多い気がします。
大学時代に、ある単純作業をしている時に、友人が
「俺、単純作業が結構好きなんだよね。単純作業をしながら『どうやれば効率よく進められるか』を考えるのが好きなんだよね。」
と言っていたことがあって、「なるほどな」と思ったことがありました。
「言われたこと」だけする人。
「言われたこと」にプラスして、
「どうやれば効率よくできるか」を考えながらやる人。
はたから見ている限り、両者の違いはないかもしれません。
ですが、時間が経つに連れてその差は大きくなっていくと思います。
大人になった時の姿が透けて見える
「大人になってから、中学で習ったことなんて使わないよ」
という話を聞くことがあります。
確かにそれはそうだな、と思います。
ですが、一方で、例えば生徒の計算練習の様子を見ていると、
「この子は自分なりに工夫することができる子だな」
とか
「この子は言われたことしかできない子だな」
ということが、何となくわかります。
そしてそれは、そのまま大人になって、仕事をする時になっても変わらないのではないか。
そう思います。
なので、大人になって使うか使わないかは別として、「物事に取り組む際の姿勢」というものは、勉強を通じて学ぶことができるのではないか。
そのように思います。
☆YouTubeチャンネルもやっています
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ぜひご覧ください。