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知識偏重の危険

2022/5/26

安曇野市のいくつかの中学では、今日、1学期中間テストが行われました。

テスト前になると一気に質問が増えます。そのため、昨日までかなりバタバタしていました。

今回もいくつか質問があったのですが、その中で気になることがありました。

「同心円」とは?

理科で「地震」がテスト範囲になっている学校がありました。

地震は計算問題があるため、苦手にする生徒が多い分野です。

なので、生徒が「地震についての質問」を持ってきたので、「おそらく計算のことだろう」と思って聞いてみました。

すると「作図の意味がわかりません」という質問でした。

東京書籍「新しい科学1」より

こちらのような問題です。

地震の波が、震源を中心に「同心円状に広がっていく」ということを作図する問題です。

「地震の到達時間が同じ場所のところを結んでみると、震源を中心とした円ができる」

という作図をすれば完成です。

正直、そんなに難しいことではないと思っていました。

ですが、「念のため」と思って、質問した生徒以外の生徒にも聞いてみました。

すると、よくわかっていない生徒の方が多かったのでびっくりしました。

確認していくと「同心円」の意味がよくわかっていない、ということがわかったので説明をしました。

この時に困ったのが「どのように説明するか」でした。

具体例を挙げても

私が「同心円」と聞いて思い浮かべるイメージは、「水の中に石を投げ込んでできる波」ということです。

昔住んでいた家の近くに「防火水槽」がありました。

その中に石を投げ込むと、石を中心として波が広がります。

その様子を見て「水に石を放り込むと、同じような円が広がるんだな」ということをなんとなく知りました。

雨が降った時、水たまりをぼんやり眺めていると、水が落ちたところを中心に同じような円が広がっていきます。

「たまっているところに水が落ちると、円が広がるんだな」

ということをなんとなく感じました。

そうした「体験」があったので、「同心円」という言葉を聞いた時、「おそらくあの現象のことを言っているんだな」ということが感覚的につかめました。

なので、生徒にこうした「体験」の話をしながら、まずは感覚的に理解してもらおうとしました。

ですが、そうした体験の話をしてもピンと来ない。

そうするとすべてを「言葉で」説明せざるを得なくなります。

語彙力がないので…

言葉で説明しようとするのですが、今度は「語彙力」がない生徒が多い。

語彙力がある生徒だと「『同じ中心を持つ円』だから同心円」。これだけで理解してくれます。

ですが、語彙力のない生徒にこれを言っても、「口ぽか~ん」です。

「いかに少ない言葉で説明するか」を考えると、感覚的にわかってもらうといいのかな、と思うのですが、体験が少ないため感覚がわからない。

言葉で説明しようと思っても、言葉のイメージがわかないのでピンと来ない。

八方塞がりの状態になってしまいます。

結局、なんとなくわかりそうな「円の半径」の話を持ち出して説明をしたのですが、正直きちんと理解できたかどうかはあやしいです。

「感性」に乏しい

生徒を指導していて心配なのが、「自分で体感しながら考える」ということができない子が多い、ということです。

素直な子が多いので、「教わったこと」に関してはそれなりにできる子が多い。

ですが、自分が体感したことを元にして、「自分の頭で考える」ということができない子が多いです。

なので、「指示された」ことはできるのですが、「自分でやってみ」と放置されると、途端に思考停止になってしまう。

そうした生徒が多い気がします。

もっと自分で色々なことを感じ、考えてみてほしい。そのためにはどうすればいいのか。

試行錯誤の日々です。

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