長野県公立高校入試分析セミナー
2022/9/30
毎年行われている「長野県公立高校入試分析セミナー」に参加しました。
そこで話された内容について、まとめようと思います。
昨年の特徴
①難しかった
まずは何と言っても「難しかった」ということが挙げられると思います。
5教科の平均点が50点以上も下がりました。
全国的に見ても
・理科は全国で2番目
・国語は全国で5番目
の平均点の低さでした。
特に国語は、この2年で25点ほど平均点が下がっています。
なので、3年前のノリで甘く見ていると、痛い目を見ることになります。
理科や数学は、
「10年に一度の当たり年」
があるらしく、平均点が30点台のテストが10年に一度あるそうです。
昨年度は、理科がまさにその「10年に一度の当たり年」だったようです。
他の教科も、全て昨年と比べると平均点は下がっていました。
改めて、「昨年度の入試は厳しかったんだな」ということを思いました。
②新出内容の出題はなし
昨年度は、教科書が変わって最初の入試でした。
新しい教科書で教わるようになった「新出内容」が入試に出題されるかが注目されました。
多くの都道府県で出題がされましたが、長野県では出題がなかったようです。
ちなみに「新出内容」の出題がなかったのは「秋田、長野、宮崎」の3県だけ、とのこと。
なので、逆に言えば
「今年は新出内容の出題可能性大」
ということが言えると思います。
続いて、科目ごとの特徴について述べます。
数学の特徴
数学に関しては例年通り、いわゆる「難問」というものはなかったようです。
ただ、「用語の本質的な意味を問う」問題の出題が多く、そうした問題の正答率は低かったようです。
ただ問題を解ければいい、という訳ではなく、
「なぜそのようなことが言えるのか」
「この知識・公式の本質的な意味は何か」
という点までしっかりと理解しておかないと、高得点は難しいようです。
また、「割合」をからめた連立方程式が出題されましたが、こちらの正答率も低かったようです。
小学校で習う「割合」がきちんと身についていないことが原因だと思われます。
私も繰り返し述べていますが、
「小学校の算数がきちんと身についていないと、中学の数学では高得点は取れない」
ということが、改めて証明されたのかな、と思いました。
ちなみに、「割合」に関しては、理科でも使いますし、社会の資料問題でも使います。
色々な教科に影響が及ぶので、小学生はしっかりと練習しておいた方がいい、とのことでした。
また「箱ひげ図」については、出題可能性が高いので、しっかり練習しておいた方がよさそうです。
英語の特徴
英語に関しては、長文読解の正答率よりも、文法問題の正答率の方が思ったよりも低い印象でした。
特にリスニング後、最初の記述の穴埋め問題。
正答率が10%台でした。
きちんと文章の意味が理解できずに、何となく違う答えを選んだ生徒が多かったようです。
「長文が解けないから英語の点数が低い」
と思っている生徒が大半ですが、実際には
「文法や単語が身についていないから、長文が解けない」
ということが、入試の結果からもうかがえます。
リスニングは他県と比べるとまだ解きやすいようです。
が、いつ難しくなってもおかしくないので、油断せずきちんと準備していく必要があると思います。
難易度は普通なので、上位校を目指す生徒は「英作文」で差がつきそうです。
「複雑で難しい文」を書くよりも
「シンプルで文法的に正しい文」
を書くことを意識するとよさそうです。
国語の特徴
先にも触れましたが、国語はここ2年で25点ほど平均点が下がっています。
原因は「記述問題の増加」にあります。
生徒を指導していて感じますが、今の時点で「書く」というところまで手が回る生徒はなかなかいません。
ですが、上位校を目指す生徒にとって「記述問題」は避けては通れないです。
意識して記述問題に取り組んでほしいと思います。
理科の特徴
理科は昨年度、最も苦しんだ教科だと思います。
全国的に見ても2番目に平均点が低い結果でした。
生物・地学・化学・物理の4単元から、8分野の出題がされたのですが、その8分野すべてが、「負荷の高い」分野からの出題だったようです。
まとめると
「問題が難しかった上、苦手にする子が多いところばかりからの出題」
だったため、難しいテストになったようです。
理科も数学同様に
「ダニエル電池」
「イオン化傾向」
といった、新しい内容の出題が今年は予想されるので要注意です。
また、実験の問題では「答え」だけを覚えるのではなく
「なぜそのようなことが言えるのか」
という「過程」の部分をきちんと押さえていくことが大事、ということでした。
社会の特徴
社会も記述が難しいです。
特に「課題解決のための記述問題」が厄介です。最後に出題される問題です。
これも結局
「与えられた資料から、どのようなことをすればよくなるのか」
ということを、その場で自分で考えて、まとめる力が必要となります。
こうした力は、ただやみくもに記述問題を解いても身につきません。
まずは基礎的な知識を覚える。そうした基礎的な知識が前提となって、様々な意見が浮かんできます。
なので、社会はまずは「基礎的な知識」をしっかりと覚えていくことが大事だと思います。
また、大学入試の影響を受けて
「近現代史」
「公民」
の難易度が上ってきているようです。
この分野の勉強に、特に力を入れていく必要があると思います。
まとめ
ここ数年の傾向として、「難しい問題」というのは
「考えるのが難しい」
というよりも、
「知っている知識を、いかに実生活に即して使いこなすことができるか」
という部分での難しさだそうです。
なので、
「いかに実践的な問題(過去問)に数多く触れていくか」
ということが大事になるようです。
受験生は、
・中3内容の新しいことを覚えつつ、
・中1・2年の内容を復習しつつ、
・「実践的な」問題に慣れていく
ことをしていかなくてはなりません。
限られた時間の中で、これらをこなすのはかなり大変です。
受験生はやるしかないですが、1・2年生については
「いかに今の段階で、今やっている内容をしっかりと身につけられるか」
に加えて
「先を見据えて、応用的な問題にまで挑戦しておく」
ことが重要だということでした。
受験生になってからの負担を減らすためにも、
1・2年生はいま、目の前の勉強に全力を注いてほしいと思います。
☆YouTubeチャンネルもやっています
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ぜひご覧ください。