安曇野の学習熱は「低い」のか?
2026/9/2
「今のままで大丈夫でしょうか?」
入塾面談をしていると、時々他の地域から安曇野へ引っ越してきたご家庭の方とお話しする機会があります。
県外から来られた方もいれば、長野県内の別の地域から移ってこられた方もいます。
そうしたご家庭から、かなり高い確率で聞く言葉があります。
それが、
「今のままで大丈夫なのでしょうか…」
という不安です。
具体的には、
「学校の宿題が少ない」
「勉強について、あまり厳しく言われない」
「以前はきちんと勉強していたのに、こちらに来てから言われなくなったので、やらなくなってしまった」
といった話です。
逆に、
「学校の勉強が厳しすぎて、ついていけるか心配です」
という相談は、ほとんど聞いたことがありません。
こうした声を何度も聞いていると、少なくとも私の身の回りの地域は、全体として「学習に対する熱量が高い地域」とは言いにくいのかな、と感じてしまいます。
「勉強はそこまでできなくてもいい」
もちろん、すべてのご家庭がそうだという話ではありません。
教育に非常に熱心なご家庭もあります。
子どもの将来について真剣に考えて行動されている保護者も大勢います。
ただ、地域で生活していると、
「勉強なんて、別にそこまでできなくてもいい」
「女の子だから、そんなに高い学歴はいらない」
「大学?そこまでは考えていない」
といった言葉を耳にすることがあります。
こうした感覚が、ある程度この地域の「空気感」として存在していることは、否定できないように思います。
私は、学力だけが人間の価値を決めるとは思っていません。
勉強ができることよりも、人間性や社会性、何か一つに打ち込む力の方が、生きていく上では重要な場面がたくさんあります。
ただ、そのことと、
「それほど熱心に、教育の機会を作らなくてもよい」
ということは別のように思います。
環境によって、才能が磨かれないこともある
生徒たちを見ていると、
「この子は、もっと伸びる力を持っているのにな」
と思うことがあります。
本人に能力はある。
頑張る力もある。
しかし、周囲の環境が緩いため、それ以上頑張ろうとしない。
ほどほどの中学校生活を送り、
「自分は、このくらいでいい」
と思うようになってしまう。
これは、少しもったいないことだと思います。
子どもの能力は、本人の素質だけで決まりません。
周囲にどのような友人がいるか。
学校や家庭で、どの程度の「指針」を与えられるか。
「もっとできる」と気づかせてもらえるか。
こうした環境によっても、大きく変わります。
学習に対する要求水準が低い環境では、本来持っていた力が十分に磨かれないまま終わってしまう可能性があります。
「空気」を変えるのは難しい
私自身、塾を運営する中で、
「少しでも、この地域の学習環境をよくしたい」
という思いを持っています。
勉強することを特別なことにしない。
努力する生徒が浮かない。
高い目標を持つことを、恥ずかしいことにしない。
「もっと上を目指したい」
と、生徒自身が思える環境をつくりたい。
そう考えて、日々指導しています。
ただ、実際にやってみると、地域全体の「空気感」を変えることは、並大抵のことではありません。
様々な価値観が、時間をかけて積み重なっていく中で、今の雰囲気がつくられています。
そうした状況で、たった1つの塾で、何ができるのか。
これは、簡単に答えの出る問題ではありません。
これから、どのような塾を目指すのか
これから先、自分の塾をどのような方向へ進めていくのか。
改めて考える必要があると感じています。
生徒の点数を上げることは、もちろん大切です。
しかし、それだけではなく、
「学ぶことには価値がある」
「高い目標を持って努力することの大切さ」
「努力すれば、自分の可能性を広げられる」
そう思える生徒を、一人でも増やしていく。
地域全体を変えることは難しいかもしれない。
ですが、塾に来てくれた生徒と、そのご家庭には、少し違う空気を感じてもらうことはできるかもしれません。
安曇野の学習熱は、本当に低いのか。
そうは思いたくない気持ちはあります。
ただ一方で、外から来たご家庭の声を聞くたびに、考えさせられてしまいます。
そして、自分の塾がこの地域でどのような役割を担っていくべきなのか。
そこを、これからも考えていきたいと思っています。
※猿田塾へのお問い合わせは、こちら