国際学習到達度調査(PISA)で 日本は全分野で1位。しかし…
2026/9/14
「国際学習到達度調査(PISA)」の結果
先日、2025年に実施した「国際学習到達度調査(PISA)」の結果が発表されました。
ニュースを見て、まず目に飛び込んできたのが、
「日本、3分野すべてでOECD加盟国1位」
という結果です。
PISAは、世界の15歳の生徒を対象に、
「読解力」
「数学的リテラシー」
「科学コンピテンシー」
などを調査する国際的な学力調査です。
今回、日本は、この3分野すべてで、OECD加盟38か国中1位となりました。
3分野すべてで1位になったのは、調査開始以来初めてとのことです。
※なお、OECD加盟国以外も含めた全参加国・地域で見ると「読解力が4位、数学が5位、科学が5位」
日本の子どもたちが、依然として世界でも非常に高い水準の学力を維持していることは間違いありません。
これは素直に評価していい結果だと思います。
ただ、詳しい結果を見ていくと、
「日本が1位になった。素晴らしい!」
と手放しで喜んでいる場合ではない、とも感じました。
「伸びたから1位」になったわけではない
まず気になったのが、得点の推移です。
日本の今回の平均点は、
科学が538点、数学が525点、読解力が503点。
前回の2022年と比べると、3分野とも得点は下がっています。
OECDの分析では、数学と科学については統計的には「前回とほぼ同水準」とされていますが、読解力については「明確な低下」が確認されています。
そして、日本以上に深刻なのがOECD加盟国全体です。
OECD平均は、読解力や数学を中心に低下を続けており、今回の調査では過去最低水準となりました。
つまり、
「日本の学力が伸びて、世界のトップに立った」
というよりも、
「世界的に学力が低下する中で、日本は何とか高い位置で踏みとどまっている」
と考えた方が、実態に近いようです。
そう考えると、今回の結果をそれほど楽観視することができないように感じます。
「できる子」と「できない子」の差が広がっている
もう一つ、非常に気になったデータがあります。
それが、
上位層と下位層の学力差が広がっている
ということです。
日本では2022年から2025年にかけて、成績上位10%と下位10%の得点差が、数学・読解力・科学の3分野すべてで広がりました。
これは、普段生徒たちを指導していて感じていることとも重なります。
最近、
「子どもたちの学力差が大きくなっている」
ということを、強く感じます。
できる子は、高水準を保っています。
一方で、「九九などの基本的な計算」「漢字、文章を読むこと」など、本来であれば小中学生の段階で身につけておきたい力が十分でない子もいます。
学力の分布図が、上と下に極端に分かれてきている。
そんな感覚があります。
もちろん、一つの調査だけですべてを断定することはできません。
それでも、現場で感じていた「学力格差の拡大」が、国際的な学力調査の数字にも表れていることは、非常に気になるところです。
「デジタル機器」の使い方
もう一つ興味深かったのが、デジタル機器やAIに関するデータです。
日本の生徒は、学校で余暇目的にデジタル機器を使う時間が非常に短く、1日平均0.4時間。
OECD平均は1.1時間です。
また、「学習のためにAIチャットボットを週1回以上利用する」と答えた日本の生徒は27%で、OECD平均の46%を大きく下回りました。
「スマホを長時間使うと、学力が下がる」
と、この調査だけで断定することはできません。
それでも、私は今回の結果を見て、
「子どもたちのスマホをはじめとしたデジタル機器との付き合い方は、今後ますます重要になるだろう」
と感じました。
今の子どもたちは、私たち大人とは比較にならないほど、デジタル機器に囲まれて生活しています。
そして、これからはAIも当たり前になっていくでしょう。
これらは非常に便利な道具です。
うまく使えば、学習の大きな助けにもなります。
ただし、便利だからといって無制限に使わせればいいわけではありません。
一歩使い方を間違えれば、あっさりと学力を低下させる。
そのような「危うさ」というものを感じました。
「1位」という結果に満足している場合ではない
今回、日本はOECD加盟国の中で3分野すべて1位となりました。
結果だけ見れば、素晴らしいです。
ただ、その一方で、
・読解力は低下している
・上位層と下位層の差が広がっている
・OECD全体では学力低下が続いている
・デジタル機器の使い方と学力との関係も見え始めている
という、気になる兆候もあります。
だからこそ、
「1位だから、素晴らしい!」
と安易には考えない方がいいと思っています。
むしろ、今は大きな分岐点に来ていると感じます。
AIやデジタル機器をうまく利用する。
その一方で「読解、計算」といった基礎学力をどう身につけさせていくのか。
スマホに依存させないためにはどうすればいいのか。
これは、これから子どもたちを育てていく保護者にとっても、我々のような塾講師にとっても、真剣に考えていかなければならない問題だと思います。
ここで方向性を誤れば、日本の子どもたちの学力は一気に低下する可能性もある。
私はそのくらいの危機感を持っています。
「1位」という結果に安心するのではなく、
・日本は高い学力を維持できていると言えるのか
・それを今後も維持、伸長するために何をすべきなのか
今回の調査結果は、こうした点を改めて考えるきっかけにしなければならないと感じています。
※猿田塾へのお問い合わせは、こちら