学力「二極化」の現実
2025/10/24
「愚民化」という言葉
先日、とある塾講師向けのメールマガジンを読んでいたところ
「愚民化」
という言葉が目に飛び込んできました。
「ドキッ」
としました。
まさに今、自分がなんとなく感じていたことを、強い表現で表した言葉だったからかもしれません。
どんな流れから「愚民化」という言葉が出てきたのか。
それは、
「生徒たちの学力の二極化が進んでいる」
というテーマの話からでした。
「真ん中」がいない
最近のテスト結果を見ると、
「平均点」
というものの意味合いが、変わってきているように感じられます。
以前は
「平均点の人数が一番多く、平均点から点数が離れるにつれて、徐々に人数が少なくなる」
という感じでした。
30人のクラスで、50点が平均点ならば、
50点に10人
40点と60点に5人ずつ
30点と70点に3人ずつ
20点と80点に2人ずつ
という感じでした。
ところが今は
「平均点よりも『高い』層と、平均点よりも『低い』層の人数が多い」
という人数分布に変わっています。
先程のテストを例に挙げれば
30点と70点が10人ずつ
それ以外の点数が1ケタ
という感じです。
「高校入試の英語」では、このような人数分布になっています。
ですが、今は、定期テストの段階でこのような人数分布になることが普通になってきています。
実際に塾に来る生徒を見ても、うちのような小さい塾では、以前は
「真ん中くらいの実力」
の子が多く来ていました。
ところ最近は、そうした「平均点」的な生徒が減り
・「極端に勉強でつまづいている」子
・「平均点以上は取れていて、さらに上を目指している」子
の2つのケースに大きくわかれている印象を受けます。
「放置」される子どもたち
こうした「二極化」の現状について、メールマガジンではいくつかの原因が挙げられていました。
その中で、私が最も「そうだな」と思ったのは
「現在の学習指導要領下では、勉強が苦手な生徒が、放置されている」
という部分です。
今の公教育では、子どもたちの「自主性」が重んじられています。
そのため、昔のように
「無理やり漢字を覚えさせる」
「計算練習を繰り返しやる」
というような教育は、公立学校ではなされていません。
その結果、現実はどうなっているか。
「ある程度優秀な層」
の子どもたちは、自分なりに興味を持って、自分で勉強を進めていきます。
興味を持ったことができるので、こうした子どもたちは意欲的に勉強を進められています。
また、「ある程度優秀な層」の子どもたちは、「親が教育熱心」という側面があります。
なので、自分ではそれほど興味がなくても、「親の意志・情熱」によって、学力が維持されている。
もしかしたら、そうした子どもたちの方が多いかもしれません。
いずれにしても、「ある程度優秀な層」の子どもたちは、今の環境を活かして、きちんとした学力を身につけています。
このような「ある程度優秀な層」の子どもたちは、一部です。
残りの半数以上の、いわゆる「普通」の子どもたちは
「親や先生から何も言われないから、勉強せずにボーッとしている」
という子が多いです。
そのため、小学生のうちに身につけておくべき「基礎学力」が身についておらず、高校入試が近くなってきた中学生になって、急に慌て始める。
このような子どもたちの割合が、以前よりも増えているように感じられます。
親の「無関心」が拍車をかける
さらに、そうした学力に課題を抱えている子どもたちの親は、あまりに教育に熱心ではない場合が多いです。
こうした「子どもの学力にあまり興味がない」親が増えているのも、1つの原因ではないかと思います。
以前見たアンケートでは、子どもの学力に対して、
「高い関心を持っている」層と
「楽しく学校に行ってくれればそれでいい」層
の割合が多い、という結果を見ました。
「親の興味、関心が、そのまま子どもたちの学力に直結してしまっている」
そうした現実があるように思います。
実際に、塾に来た生徒を見ていても
「今の段階で、この学力だと、かなりまずいな…」
と感じられる生徒でも、親の反応を見たら
「ああ、そうですか…」
というあっさりとした感じ、ということはあります。
学校からは放置され、親からもあまり関心を持たれない。
そのような子どもたちの学力が低下するのは、ある意味
「当然の帰結」
です。
そして、そうした現実が現在進行形で進んでいる。
これが、今の子どもたちを取り巻く教育環境のように感じます。
最後の砦
学力だけが全てではありません。
これからのAI時代、「学力」なんて必要のない時代になるかもしれません。
ですが、現場で子どもたちと接していると
「基礎的な学力を、子どものうちに、できるだけ身につけさせておかないと、その子が大人になって苦しむ」
ように、私には感じられてなりません。
なので、どうしても今の
「子どもの自主性を重んじる」
という学習指導要領は、好きになれないな、というのが正直な気持ちです。
今の我々塾業界には、
「生徒を志望校に合格させる」
という命題の他に、
「子どもたちの学力を守る」
という使命もある。
そのように感じています。
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