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「わかりやすい」に潜む罠

2026/7/20

「先生の授業がわかりやすい」

塾の評価として、このように言われることがあります。

もちろん、そう言っていただけるのはありがたいことです。

授業が分かりにくいと言われるよりは、分かりやすいと言われた方がうれしいです。

ただ、天邪鬼な自分としては、正直なところ少し微妙な気持ちにもなります。

なぜなら、

「わかりやすい授業」が、必ずしも生徒の成績向上につながるとは限らない

と思っているからです。

「わかる」と「できる」は違う

勉強で気をつけなければならないのは、「わかる」と「できる」は違うということです。

先生の説明を聞いて、

「なるほど」
「分かった」
「そういうことか」

と思うことはあります。

しかし、それはあくまでも「説明を聞いて理解した」という状態です。

その後、「自分1人で問題を解けるかどうか」は、また別の話です。

分かりやすい授業を聞くと、理解できた気になります。

先生の説明が上手であればあるほど、その場ではスムーズに分かったような感覚になります。

しかし、いざ自分で問題を解こうとすると、手が止まる。

どのように進めればいいか、わからない。

こういうことはよくあります。

つまり、

「分かりやすい授業を聞くこと」と

「自分で問題を解けるようになること」

は別なのです。

一番避けたいのは「わかったつもり」

勉強で一番避けたいのは、

「わかったつもり」

で終わることです。

先生の説明を聞いた。
解説を読んだ。
板書を写した。

その時点では理解した気になっている。

しかし、実際に問題を解いてみると、自分一人ではできるようになっていない。

これでは、本当の意味で力がついたとは言えません。

だからこそ、私は普段の指導では「あまり教えない」ことを意識しています。

もちろん、必要な説明はします。

ただ、最初から丁寧に説明しすぎないようにしています。

できるだけヒントや情報は少なくする。

生徒が自分で考える余地を残す。

自分で理解しようとする時間を大切にする。

そのような指導を心がけています。

自分で理解して進める生徒が強い

理想は、「生徒が自分で学べるようになる」ことです。

教科書を読む。
問題集の解説を確認する。
参考書を見て、自分で理解する。
分からないところだけ整理して質問する。
そして、自分の力でどんどん先に進んでいく。

こういう状態が作れれば、その生徒は自分の力で、どんどんと成長していくことができます。

中学生の間だけでなく、高校に入ってからも、大学に進んでからも、社会人になってからも、学び続けることができます。

勉強の目的は、先生の説明を聞いて「わかったつもりになる」ことではありません。

「生徒が、自分一人でできるようになる」ことです。

そのためには、先生が何でも分かりやすく教えすぎることが、かえって邪魔になることもあります。

「先生、もういいです」が理想

たまに、生徒から質問を受けることがあります。

こちらが答えようとすると、生徒が途中で自分で気づいて、

「あ、もう先生、分かったからいいです」

と言ってくることがあります。

正直なところ、

「呼んでおいて、なんだよ…」

と思うこともあります。

しかし、これがかなり理想的な状態です。

説明を聞く前に、自分で気づくことができた。
先生の説明を待たずに、自分で解決できた。

これは、とてもよいことです。

このような生徒を見ると、「自分で学ぶ力が育っている」と思います。

だから、「先生、もういいです」と言われるくらいが、実はちょうどよい。

「生徒が自分で勉強を進めるから、先生は暇すぎて、何もやることがない」

これが究極的に理想の姿だと思っています。

それでも数学は先生の力量が出る

ただし、ここで一つ例外があります。

それは数学です。

数学に関しては、先生の力量によって、生徒の理解度にかなり差が出るように感じます。

教え方がうまい先生は、生徒が理解できる言葉で説明できる。

この「数学の言語化」が上手です。

生徒がつまずきそうなポイントを見抜き、分かる言葉に置き換えて説明できます。

そのような先生に教わると、数学は大きく伸びることがあります。

実際、私自身も中学1年生の時は、数学はそこそこでした。

ところが、先生が変わった中学2年生、3年生で、数学の実力が大きく伸びました。

生徒たちを見ていても、

「学校の先生が何を言っているのか、よく分からない…」

と、多くの生徒から評される先生がいます。

その先生に習っている場合、数学で苦戦していることが多いです。

その意味では、数学に関しては、先生の「当たり外れ」はあると思います。

最後は自分で理解しようとする力

ただし、先生の力量は言い訳になりません。

どれだけ分かりやすい先生に教わっても、自分で考えなければ力はつきません。

逆に、先生の説明が多少分かりにくくても、実力のある生徒は結果を残しています。

結局のところ、成長を決めるのは、

「自分でどれだけ理解するように努力できるか」

だと思います。

分かりやすい授業は、確かにありがたいものです。

しかし、それを聞いて満足してしまえば、そこで成長は止まります。

大切なのは、分かりやすい説明を受けたあとに、自分でできるようになるまで練習することです。

そして、最終的には、先生の説明に頼らず、自分で理解して進めるようになることです。

「わかりやすい」は、よいことのように見えます。

しかし、その中には「わかったつもり」で終わってしまう危険もあります。

勉強で本当に大切なのは、分かることではなく、「できるようになる」ことです。

そのことを忘れずに、日々の勉強に取り組んでほしいと思います。

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