塾の仕事はAIに取って代わられるか?
2023/10/25
最新技術と教育
AI技術の発達によって、将来「なくなる仕事」が出てくると言われています。
「なくなる仕事」の中に「教育関係」の仕事は含まれていないようなので、少しは安心できるかもしれません。
ですが、教育の現場にもICT機器を利用した指導方法というものが導入されてきています。
「AIが生徒のつまづきを判定し、生徒に最適な学習プランを提供する」
なんてサービスも出てきているようです。
こうした「最先端」の技術を用いた指導についての宣伝を目の当たりにすると、正直、心がざわつきます。
「今のままで大丈夫なのだろうか」
「旧態依然としたやり方で、果たして生き残ることはできるのか」
ですが、一方でこうも思います。
「教育は、結局『人』と『人』との関わり合いだから、AIに負けることはないのかな」
生徒を指導していると、そのようなことも思います。
「最適プラン」を提供できても
例えば、先程挙げた
「AIが生徒のつまづきを判定し、生徒に最適な学習プランを提供する」
というサービス。
確かにとても魅力的だし、指導する側としても非常に興味のある部分ではあります。
実際に人間の「勘」のみに頼る指導よりも、データに基づく指導の方が、より客観的な判定がなされると思います。
ただ、客観的に最適なプランが、
「その生徒自身に最適なのか」
というのは、必ずしも機械的に判断することはできないのかな、と思います。
例えば、数学の「連立方程式」でつまづいていた生徒がいたとする。
だけど、調べてみたら、どうやら連立方程式の前の「一次方程式」のところでつまづいてしまっているようだ。
ということで、「連立方程式」をやる前に「一次方程式」の練習をすべきである。
仮にAIによって、このような判定がされたとします。
確かに「理屈の上」では、つまづいているところに戻って練習する、というのは正しいと思います。
ですが、この生徒の「テスト範囲」がもし「連立方程式」だけだったとした場合、範囲外の「一次方程式」の練習をやって、果たしてどれだけの成果が出せるか。
その前に、そもそも生徒自身が
「今回の範囲は連立方程式だから、連立方程式の練習がしたい」
となっている時に、「正しいから」といって一次方程式の練習をさせたところで、どこまで本気に取り組むか。
生徒を指導していると、「イレギュラー対応」をしなければならない場面が何度も訪れます。
「論理的に」指導が進められるような生徒はほとんどいないです。
逆に言えば、そうした「イレギュラー対応」をどこまで柔軟にすることができるのか。
ここに指導者の「力量」が問われるような気がしています。
こうした「イレギュラー対応」をAIにできるのかな、というとちょっと難しいのではないか。
そんな気がしています。
問われる指導者の姿勢
だからといって、いつまでも同じような指導を何年も変わらずやり続けていればいい、という訳でもありません。
時代は急速に変わっています。
子どもたちの考え方も変わっています。
そうした「時代の流れ」に合わせて指導をしていく、という姿勢も大事だと思います。
また、指導に役立つ技術については積極的に導入していく姿勢も必要だと思います。
「教育がAIに取って代わられるということはない」
と言えると思いますが、同時に
「時代にあわせて、指導者は変わり続けなければならない」
ということも言えるのではないか。
そう思います。
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