数字とたわむれる
2020/1/24
生徒に算数や数学を教えていると、
一番感じるのは「計算力のなさ」です。
苦手な生徒もそうですが、
比較的優秀な生徒でも、
計算力のなさを感じることがあります。
「数字を使って考える」という習慣が
ないのかな、という気がします。
「学校は何をやっているのか?」
という話になるかもしれませんが、
今の小学校は昔と比べるとやることが
多すぎる気がします。
そこへ持ってきて、4月からは「英語」が
本格的に導入されます。
小学校の先生の負担はますます大きくなるので、
基本的なところに目を配るだけで精一杯だと思います。
そう考えると「計算力を鍛える」ために
各家庭でしっかりと練習させる必要が
あるように思います。
「勉強」としての計算も大切ですが、
もっと日頃から数字を使ってぼんやり考えること
も大事なのではないかな、という気がします。
自分の話になってしまって恐縮ですが、
私は堀金の田多井出身です。
小中学校まで2kmの道のりを
テコテコと歩いて通っていました。
今でもたまにその道程を走ってみるのですが、
「よくまあこんな距離を何年も
歩いて通っていたな~」
と我ながらビックリします。
で、その帰り道、友達がいれば
一緒に楽しくワイワイと帰れるのですが、
友達がいないとおよそ30分の道のりを
1人で帰らなければなりません。
学校から自宅までの道のりには何もありません。
ひたすら田んぼや畑。
暇すぎました。
そこで何をしていたか。
たまに通る「車のナンバー」を見ていました。
4ケタの車のナンバーを見て
「その数字が3の倍数になるのかどうか」
というのを頭の中で考えていました。
3の倍数になるかどうかは
「各ケタの数字を足して、その数字が3の倍数」
になるかどうかでわかります。
たとえば「1234」という数字。
それぞれのケタを足すと
1+2+3+4=10
10は3の倍数にならないので、
3では割り切れない。
では「3456」だとどうか。
3+4+5+6=18
18は3の倍数だから、3で割り切れる。
じゃあホントに3456は3で割り切れるのか。
実際に計算してみる。
そんなことをしながら帰っていました。
こんなことを繰り返す中で、
「たし算する時には10をつくるように
並び替えて計算したほうがラクだな」
とか
「3の倍数は3で割り切れるのはわかるから、
残りの数字を足して3の倍数になれば3で割り切れるな」
といったことを感覚としてつかんでいきました。
ちなみに、
「各ケタの数字を足して、その数字が3の倍数」
ということは、人から聞いて教わったわけではありません。
たまたま問題集を解いていた時に、
「メモ欄」のところに書いたあったのを自分で見て、
「へ~、そうなんだ~」
と思って、実際に試してみて覚えただけです。
自分は教えすぎるのはあまり好きではないので、
なるべく生徒には教えないようにしています。
それは
「自分であれこれやってみて身につけた
知識の方が忘れない」
ということを体験しているからだと思います。
また、小さい時期、少なくとも小学生までは
ある程度自由な時間があったほうが
子供なりに色々と工夫して考えるのではないかな、
という気がしています。
その意味では、今の子供たちはあれもこれもと
忙しすぎるような気がします。
その結果、総合的な能力は高いのですが、
「自分の力で何かを得る」という力が
弱い気がしています。
塾などは、まさに「子供の自由時間を奪う」
原因の一つになっていると思います。
だからこそ、
大人の事情で子供たちの創造力を
奪わないようにしたい。
そう気をつけています。