「言葉力」
2024/9/23
FC町田ゼルビア
最近、こちらの本を読みました。
現在、J1リーグで首位争いを演じている「FC町田ゼルビア」。
つい数年前は下部リーグでも目立たない存在でした。
それが大きく変わったのが、今回の本の著者、黒田剛監督の就任です。
高校サッカー界では、青森山田高校を全国区の競合に育てた名将として知られています。
「高校サッカーの名将が、プロの世界でも通用するか」
就任前は懐疑的な目も向けられていましたが、蓋を開けてみたら、1年でJ2リーグの優勝、2年目の今年は、昇格初年度でありながら、J1リーグで堂々の優勝争いをしています。
わずかな期間で結果を出すその手腕の源はどこにあるのか。
それが知りたくて、こちらの本を読みました。
「言葉」を大事にする
読んでみて一番感じたことは、黒田監督というのは
「言葉」を大事にする監督なんだな、ということです。
そしてそれは、指導者には必須のスキルなのかもしれないということも合わせて感じました。
選手たちに言葉を伝えるために、黒田監督が意識していること。
それは「タイミング」です。
選手が聞く姿勢になっている時に話さなければ、ただ「伝えた」だけになってしまい、本当の意味で選手には「伝わらない」。
そのため、どのタイミングで言いたいことを伝えるか、という点に、非常にこだわっている、という印象を受けました。
これは、生徒を指導している私にも、非常に感じるところがありました。
「伝えた気」になってはならない
本の中で黒田監督は
「指導者は、『伝えた気になってはならない』」
という趣旨の言葉を述べています。
この言葉は、非常に考えさせられました。
自分で言いたいことを言ったらそれで満足してしまう。
そうした指導者が多い。
しかしそれでは意味がない。
いかに聞く側、「選手の立場」に立って考えるか。
どのタイミングで伝えれば、その選手に自分の言葉の意図が通じるのか。
そのように話を聞く「相手」の状況を考えて、話をしなければならない。
そう黒田監督はおっしゃっています。
「タイミング」が難しい
私自身、
「生徒に伝えるタイミング」
というのは、常に意識しているつもりです。
「今、この言葉を言うべきか」
「どのように言えば、一番響くか」
「もう少し、言うのを待つか」
適切なタイミングで、適切な言葉をかける。
言葉にすると簡単ですが、これは非常に難しいことだと感じています。
特に今は、2学期中間テストや総合テストの結果が出ています。
このような「わかりやすい結果」が出た時、生徒たちの感情が大きく揺れます。
この時に、いかに適切な言葉をかけるか。
これに毎回苦労します。
自分の中で「こういう言葉をかけよう」とイメージしていても、実際に生徒と対峙してみると、
「これは、思っていたのとだいぶ違うな」
と思って、当初の予定とは違う言葉をかける。
このようなことはしょっちゅうです。
「言葉を持つ」
プロ野球の野村克也監督は、
「指導者は、『言葉』を持たなければならない」
という言葉を残しています。
それはただ「名言を言えばいい」ということだけではなく、
「いかに相手に伝わるタイミングで、適切な言葉をかけるか」
という意味も含まれているのだと思っています。
今回、黒田監督の本を読んで、改めて指導者にとって
「言葉」
というものの重要性を感じることができました。
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