社会は「背景」を考えてみる
2024/10/10
手に「工業」の文字
ある日の授業。
生徒の手を見てみると、「工業」という文字が書かれていました。
気になったので
「それは何?」
と質問しました。
聞けば、その生徒は「社会係」ということでした。
次の授業でやる内容を他の生徒に伝えるために、先生に授業内容を聞き、手にメモしたそうです。
私「そうか、次は工業についてやるんだね」
生徒「そうです。今九州地方をやっています」
なるほど。ということは、おそらく「北九州工業地域」についての話でもやるのかな。
と思ったので、予習もかねて生徒に
「なぜ北九州に工業地帯が生まれたのか?」
という話をしました。
ユニークな生徒の発想
北九州で工業が盛んになったのは「八幡製鉄所」の存在が大きいです。
では、なぜ「八幡製鉄所」が北九州にできたのか?
その背景について、生徒に考えてもらいながら話しました。
生徒の回答はおもしろく、
私「鉄を溶かすために高温の火力が必要なんだけど、火をおこすのに必要なものは何かわかる?(『石炭』と答えてほしい)」
生徒「『チャッカマン』ですか?」
私「鉄鉱石を外国から輸入したいのだけど、日本から一番近い『外国』はどこかわかる?(『中国』と答えてほしい)」
生徒「北朝鮮ですか?」
などなど。こちらの予想の斜め上をいく回答が出てきて、非常に面白かったです。
そんな「珍回答」もありながら、「八幡製鉄所」について、ひとしきり話すと、生徒は
「なぜ北九州に工業地帯ができたのか」
という点について、とても興味を持ってくれたようでした。
「物事の裏には『理由』があるから、そうした背景を考えてみると、社会は面白いね」
そんな話を生徒たちとしました。
「背景」を考えてみる
社会が苦手な生徒は、社会を「暗記科目」ということだけで考えてしまっている気がします。
ですが、1つ1つの事件、出来事には「裏」があり、そうした「背景」を知ると、社会は俄然面白くなります。
特に歴史上に起こった出来事などを見ていると、
「今も昔も、人間がやっていることは、あまり変わっていないんだな」
ということに気づくかもしれません。
「社会の面白さ」とは、こうした事件の「裏側」にあると思います。
おそらく学校の先生も、こうした部分をもっと話したいのだと思います。
ですが、今は「教えるべきこと」が多すぎます。
すべての内容を教えきるには、どうしても「淡々とした」「味気のない」授業になってしまいます。
私自身も、生徒に「歴史」についての話を熱く語りたいです。
が、テストが近いとなると、そんなことをしている余裕もなく、どうしても「テスト対策」に時間を回さざるを得ません。
その結果、生徒も「社会」に興味が持てず、嫌いになってしまう。
そうした残念な状況になっているような気がします。
社会については、
「なぜそのような事件が起こったのか」
「なぜその地域に、その産業が栄えたのか」
といった「背景」を自分なりに考えてみる。
そうすると、社会にもっと興味が持てるようになると思います。
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