「個性」ではなく「型なし」
2026/5/11
「個性重視」の裏側で
現在の教育では、「個性重視」という考え方が広く浸透しています。
生徒一人一人の違いを尊重し、その良さを伸ばしていく。
この方向性自体は、とても大切なものだと思います。
ただ、現場で生徒を見ていると、少し違った状況も感じます。
「個性を大事にする」という大義名分の下、本来教えるべきことを教えない。
結果として何も身につかないまま放置されている子どもが増えている。
そのような印象です。
これは学習面だけの話ではありません。
日常生活における「しつけ」も同じです。
「自由が大事」という考え方が先行しすぎて、ルールやマナーを教えられないまま、子どもたちが野放図になってしまっているケースも見られます。
こうした状態を見ていると、これは「個性」ではなく、単なる「型なし」ではないかと感じます。
どんなことにも「基礎」がある
どんな分野にも「基礎」や「基本」はあります。
勉強であれば「読み・書き・計算」。
生活面であれば、挨拶や時間を守るといった「基本的なマナー」です。
こうした基礎・基本は、自然に身につくものではありません。
特に幼少期においては、ある程度の強制力を持ってでも「教え込む」ことが必要だと思います。
基礎がないまま自由だけを与えても、うまくいくはずがありません。
むしろ、何をしていいのか分からず、結果として「中途半端な状態」にとどまってしまいます。
こうした「中途半端な状態」になってしまっている子どもたちを、我々大人世代は生み出してしまってはいないか。
そんなことを感じています。
まずは「基礎」を身につける
まずは「基礎を身につける」→「その上で個性を発揮する」
これが本来の順序だと思います。
土台があり、土台がしっかりしているからこそ、その上に多様な表現や考え方が生まれます。
しかし現在の子どもたちを取り巻く環境では、この順序が逆転し、
「基礎が教えられないまま、自由だけが与えられている」
状態になっているように感じます。
大人が「線引き」をする
子どもたちは非常によく周囲を見ています。
「大人がどこまで許すのか」
その「ライン」を敏感に察知し、ぎりぎりのところを狙って行動します。
だからこそ、大人側が明確に「線引きをする」ことが必要です。
「ここまでは許す」
「ここからはダメ」
この基準を示さなければ、子どもたちはどんどんと甘い方へと流れていきます。
それを「個性だから」と放置するのは、責任ある対応とは言えません。
「最近はきちんとした子どもが少なくなった」
「わがままな子どもが増えた」
という、大人世代の嘆きをよく聞きます。
私自身も、そう感じるところは正直あります。
しかし、「今の子どもたちがダメ」というよりも、問題の根本は、我々大人側にあるように感じています。
指導する立場である大人が、
「嫌われたくない」
「面倒だから」
という理由で、本来やるべきことを避けてしまっている。
その結果が、今の状況につながっているのではないでしょうか。
分かる子には、分かる
塾に来る生徒たちの中には
「ちょっと行儀が悪いな…」
「まるでやる気がないな…」
と感じられる生徒が、たまにいます。
私は、ハッキリ言えば、こうした「やる気がない」と感じられる生徒と関わるのは、嫌いです。
こうした「やる気がない」生徒に対して、自分の貴重な時間を割くつもりは毛頭ない。
なので、あまりに「やる気がない」生徒に対しては
「やる気がないなら、辞めていいよ」
「ダラダラするなら、さっさと家に帰りなさい。次から来なくていいよ」
「自分から親に言いにくければ、こっちから親に伝えるから、心配しなくていいよ」
と、伝えます。
かなり厳しい言葉です。
ですが、心からそう思って伝えます。
すると、子どもたちはどうなるか。
「これだけ言えば、辞めるかな」
と思って伝えるのですが、逆に子どもたちはついてきます。
「よくまあ、こんなキツイこと言われているのに、勉強する気になるな…」
と、言った当の本人が感心しています。
子どもたちも、心のどこかではわかっているのだろうと思っています。
「けじめのない生き方をしていたら、よくない」ということを。
ただ、それを正面から言われないので、目の前の「ラクな方」に流されて、何となく過ごしてしまっている。
子どもたちの様子を見ていると、そんな気がしています。
大人が責任を持つ
子どもたちに必要なのは、自由だけではありません。
社会生活を営む上で重要な「基礎」を身につける。
そうした時期もなくてはならないような気がしています。
そうした「基礎」を身につけた上で初めて、「個性」は活きてきます。
今の子どもたちが、もし
「きちんとしていない」
「わがまま」
というのであれば、それはそうした姿勢を見逃してきた、環境に問題があるのではないか。
そのようなことを感じています。
大人が責任を持って子どもたちと関わっていくこと。
今の子どもたちに文句を言う前に、まずはそこを正していかなければならない。
少なくとも私は、そう思っています。
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