総合テストが「イマイチ」だと思う理由
2020/8/19
松本市内の中学では、総合テストが始まりました。
おそらくあまりの難しさに、
顔を真っ青にしながら
それでもがんばって解いていることと
思います。
安曇野市は来週から始まりますが、
この「総合テスト」。
個人的には「イマイチ」だと
ずっと思っています。
その一番の理由は
「難しすぎる」ということです。
「難しすぎる」原因はいろいろあります。
まず「範囲が広い」ということが挙げられます。
中2までの定期テストは
「授業で習ったところ」だけでした。
これが総合テストになると
「授業で習ったところ」に
「1・2年の全範囲」が追加されます。
総合テストは月1のペースで行われます。
「2年分」の復習を「1ヶ月」のうちに
終わらせることはまず不可能です。
しかも1・2年の復習は
「中3で習っていること」と同時並行で
行わなければなりません。
中3の勉強でも大変なところへ持ってきて
1・2年の復習をしなければならない。
この時点ですでに多くの生徒が脱落します。
次に「問題の難易度が高すぎる」
という点が挙げられます。
総合テストでは、「全国入試の過去問」が
多く出題されます。
入試はだいたい年度末(2~3月)に行われます。
「中学3年間の総まとめ」的な入試問題を、
まだまだ基礎が固まっていない
中3の8~11月時点で解くのは、
ほとんどの生徒にとって無理です。
今から半年間準備をしていく中で
本番やっと解けるようになるかどうか。
それが入試問題の難易度です。
生徒たちにそんなことはわかりません。
「難しい」問題であっても、
テストで出る以上、準備していく。
ただ、実力と難易度の差が大きすぎるため、
どれだけ頑張って勉強しても
全然解けるようにならない。
むしろ問題の難易度によっては点数が
下がることがある。
「勉強しても、ムダ」
そう感じて諦めてしまい、
ここでさらに多くの生徒が脱落します。
「テスト」には色々な役割があると思います。
「生徒の実力をはかる」ことが主な役割ですが、
その他に「モチベーション維持」の
役割もあると思います。
テストを目標に努力する。
↓
努力した結果、点数が上がる。
↓
嬉しくてやる気が出る。
↓
さらに頑張る。
↓
結果が出る。
このようないい循環が生まれれば、
あとは生徒が勝手に努力をして
成長していきます。
ですが、総合テストの場合、
このような循環に、まずなりません。
テストを目標に努力する。
↓
努力した結果、点数が下がる。
↓
テンションが下がる。
↓
すぐテストが来るので、仕方なく頑張る。
↓
結果が出ない。
↓
ますますやる気が出なくなる。
↓
さらに結果が下がる
こうした負の循環になってしまうことが
多いように思います。
指導者にとって一番難しいのは、
生徒に対する「ハードルの設定」です。
ハードルが高すぎてもダメ。低すぎてもダメ。
高すぎると「自分には無理」とあきらめてしまう。
かといって低すぎると、いつまでたっても
それ以上の成長が見込めない。
「今の実力では越えられないが、
努力することで飛び越えられるようになる高さ」
その「ギリギリ」のラインをどこに設定し、
どのくらいの難易度の課題を生徒に与えるのか。
そこが一番難しいところであり、
また指導者の力量でもあると思います。
そう考えると「総合テスト」というのは、
「ハードルが高すぎて、
結果生徒のやる気を奪っているだけ。」
そのように感じてしまうのです。