「大逆転」の条件
2022/4/20
今年の受験では「大逆転」で合格した生徒がいました。
基本、うちの塾では「チャンレジ」をさせることはありません。
はたから見れば、「チャレンジさせている」ように見えることもあるかもしれません。
ですが、自分の中では「十分な勝算」がある中で、ゴーサインを出すようにしています。
ですが、今年、「大逆転」で合格した生徒に関しては、「ほぼ勝算なし」という状態でした。
3つのポイント
私が志望校を考える上でポイントとしているのは
①総合テストの点数
②中3の2学期の内申点
③模試の結果
です。
この3つのポイントがすべて「合格基準」を満たしているようであれば、「合格するだろう」と判断して、自信を持って送り出すことができます。
ただ、「合格基準」を満たしていないポイントがある場合には、ある程度の「勘」が要求されます。
たとえば、
「総合テストと内申点は合格基準を満たしているが、模試の結果がよくない」
という生徒がいたとします。
この場合は、要検討です。
「模試の結果が悪い、ということは『慣れない環境で受験した場合に、実力を発揮できない』かもしれない」
こう判断し、志望校を下げるようにアドバイスすることもあります。
実際に、このような状況の生徒がいました。
学校の成績から見ると、十分に上の高校を狙えました。
ですが、模試の結果がイマイチだったり、保護者との面談や毎回の授業報告などの情報交換をしている中で、
「どうも、この生徒は本番に弱そうだ」
という勘が働きました。
なので、「無理をせずに、確実にいける高校にしておこう」
ということで、志望校を下げて受験しました。
結果、合格はしましたが、本番の点数はかなり悪かったです。
「もし上の高校を受けていたら…」
こういう時は「慎重に判断してよかった」と思います。
逆の場合もあります。
学校のテストがイマイチでも、模試の結果がよかった場合。
普段の雰囲気の様子なども見て
「この生徒は肝がすわっているから大丈夫だろう」
ということで、ゴーサインを出し、合格した生徒もいます。
このあたりの判断は、ある程度の「勘」が必要とされるところです。
どれも当てはまらない
このように「3つのポイント」と経験に基づく「勘」から、志望校を慎重に決めるようにしています。
ですが、今年「大逆転」をした生徒は、「いずれも満たしていない」状態でした。
総合テストの結果は足りませんでした。
内申点も足りませんでした。
模試の結果も足りませんでした。
模試に至っては、1月の段階で、合格基準よりも5ポイント以上も低い状態でした。
その模試の結果を見た1月の段階で、私の中では「ここまでだな。」という判断をしていました。
それでも合格した理由
ですが、「大逆転」をした生徒は、無事に合格をすることができました。
私の「勘」はいい意味で外れたわけですが、なぜ「大逆転」で合格することができたのか?
私は、この生徒の「読解力」が大逆転を演出したのだと思っています。
この生徒は、読書をよくしていました。
そのため、国語の成績が安定していました。
また、数学などで説明をした時の理解が早かった。これは読解力がある生徒に共通の特徴です。
後期の出願をした際、私は正直「落ちるだろう」と思っていました。
ですが「万が一合格することがあるとすれば、それはこの子の『読解力』だろうな」
と、何となく思っていました。
まさか本当に合格するとは思っていませんでした(ゴメンね)が、おそらく「読解力」が合格の決め手になったのだと思います。
その意味では、私は「何の役にも立たなかった」とも言えます。
読解力が生み出す「差」
以前読んだ本の中で、
「規則正しい生活態度と、ある程度の読書習慣があれば、勉強時間がそれほどなくても、十分な実力がつく」
というデータがありました。
私の経験でも、思い当たるフシがあります。
小中学校の頃、ある問題を解く時に、他の人たちは、「わからない、わからない」とうんうんうなっていました。
私はその問題の解答を見て
「ここにやり方書いてあるじゃん。この通りにやればいいんじゃないの?」
と思いました。
その時は
「なんで『書いてあること』がわからないんだろう?」
と思いましたが、色々な生徒を指導する中で、わかってきました。
私は読書をして、ある程度の読解力があったので、解答に書いてある内容を「わかる」ことができた。
ですが、「わからない」と言っていた友達は、解答に書いてある内容が「読み取れず」、わからないと言っていた。
この部分の差だったのだと思います。
読解力は、それまでの「習慣」が問われる
私は中学の受験生時代、
「別にその教科の勉強しなくても、ある程度書いてある内容を理解することができれば、それでなんとかなるんじゃないの?」
と思って、好きな本ばかり読んでいたことがありました。
もちろん受験勉強はしましたが、それと同じくらい「読解力」というものは威力があるものだと、子供ながらに何となく思っていました。
一言で「読解力」といっても、読解力は一朝一夕では身につきません。
・小さい頃からの「読書習慣」
・家庭環境
などによって、大きく左右されます。
今年「大逆転」をした生徒。
それは決して「まぐれ」ではなく、小さい頃からコツコツと積み重ねてきた「読書習慣」。
それが土壇場で威力を発揮した。そう私は思っています。
☆YouTubeチャンネルもやっています
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ぜひご覧ください。