軽視されがちな「暗記」だが…
2023/10/3
現在重視されている「力」とは
現在の学習指導要領では、
「思考力」「判断力」「表現力」
といった能力を高めることについて、力を入れられています。
これからの社会では、
「自分の頭で考え、物事を決め、自分の考えを他者に説明できる」
人材が求められている、という認識の元、学習指導要領が定められています。
近年の高校入試の傾向として
・記述問題が多い
・読解量が多い
・自分の意見を述べさせる
というものが挙げられます。
これらは、学習指導要領の「思考力」「判断力」「表現力」重視の方針の現れと言ってもいいと思います。
また定期テストにおいても、こうした高校入試の傾向を受けて、
「記述問題が増えている」
ということが言えます。
このような流れを受けて、
「自分の考えをまとめる力こそが重要」
という認識が広がっています。
その一方で、
「なんでもかんでも『覚えて』、決められた問題に答えればいい、という時代は終わった」
ということで、「暗記」をすることを軽視しがちな傾向にあるように思います。
ですが、果たして「暗記」というのは「無駄なこと」なのでしょうか。
「暗記」は無駄か?
先に述べたように、「自分の考えをまとめさせる」ということで、定期テストや入試の傾向として、
「記述問題が増えている」
というのが、現在の主流です。
ということで、
「記述問題の練習をすることが、テスト対策、入試対策になる」
と考え、実際に記述問題の練習に力を入れている人も多いと思います。
ですが、個人的にはそれだけだと「不十分」だと感じています。
「記述問題を書けるようにする」
には、その前提として、
「ある程度の基礎知識が必要である」
私はそう思っています。
物事を思考するには、前提となる「知識」が必要です。
「知識」がない状態で、どれだけ自分の考えをまとめようとしても、そもそも何も浮かばないのではないか。
そのように思います。
例えば、私は「戦国時代」が好きなので、戦国にまつわることであれば、色々と自分の意見をまとめることができる自信があります。
ですが、もし仮に「ディズニーリゾート」についての意見を述べろ、と言われたら、興味がない分野のため、自分の意見をまとめるには、かなり苦労すると思います。
自分の意見を支える「基礎知識」があることによって、初めて「自分の考え」というものを表現することができる。
そう思っています。
なので、「覚える」ということを抜きにして、どれだけ
「思考力を高めよう!」
「表現力を高めよう!」
といっても、思考力や表現力はつかないのではないか。
そう思っています。
どれだけ技術革新が進んでも
「これからの世界は、ググれば何でも調べられるし、AIに聞けばすべて答えてもらえる」
「覚えることは『機械』に任せて、人間は『ひらめき』で勝負」
このような意見が声高に主張されています。
「まあそうかな」と思う部分もありますが、私としては、だからといって「暗記」の重要性が軽くなるとは思っていません。
というのも、結局人間というものは、
「自分が知っていること」
以外については、あまり興味関心を示すことがないからです。
自分が知らないことについて表現することは難しいと思います。
また、全くの白紙の状態で、急に何かが「ひらめく」ということもないのではないか、と思います。
「世の中のひらめきの多くが、実は元々あるものの組み合わせを変えただけ」
という意見を、何かの本で読んだことがあります。
私の意見はこちらに近いです。
今後、どれだけ技術革新が進んで、人間の記憶を補完するものが生まれてきたとしても、
「人間自身が暗記をする」
ということの重要性は、衰えることはないのではないか。
まだ、どのような時代になったとしても、結局
「色々なことを知っている人間が、一番強い」
となるのではないか。
そう思っています。
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