「数学は社会に出てから使わない」について
2024/6/7
数学ができない子の常套句
「数学なんて、社会に出てから使わないんだから、勉強しても無駄」
数学が苦手な子の常套句です。
大人でも言っている人はいると思います。
「確かにそうだな」
と思います。
一次関数や連立方程式が使いこなせれば便利だとは思いますが、日常生活の中で使うことはほとんどありません。
極端な話、「四則計算」さえしっかりできれば、金勘定はできるので、小学校までの算数で十分。
なので、そういった考え方にも一理あるかな、という気がします。
ただ、その一方で
「数学ができた方が、生きていくうえで有利かな」
と、生徒を指導していて思うことがあることも、また事実です。
「手順」が覚えられるか
というのも、「数学ができない生徒」というのは
「手順に沿って考えられない」
という風に感じるからです。
例えば、安曇野市の中2は、現在「連立方程式」を勉強しています。
連立方程式の計算方法の中に「代入法」というものがあります。
ここで苦戦する生徒が非常に多い。
代入法を解く手順をざっくり説明すると
1.「y=△x+△」…①となっている式をみつける
↓
2.①の式を「△x+△y=〇〇」…②の式に代入する。
↓
3.xだけの式を作ってxについて解く
↓
4.①②いずれかの式にxの答えを代入し、残りのyを求める
となります。
大まかに4つほどの工程があります。
この4つの工程を順番にクリアしていくと、答えが出ます。
数学が苦手な生徒は、この「4つの工程」を、順を追って進めることができません。
いずれかの工程のところで「思考停止」になってしまいます。
数学が得意な子は、何度か問題を解いていく中で
「このように進めればいいんだな」
という流れをつかんでいくことができます。
数学が苦手な生徒はそれができない。
これは「結構な差」になるのではないかな、という気がします。
「マニュアル」に苦労する
勉強に限らず、何事においても「手順」というものがあると思います。
「マニュアル」と言い換えてもいいかもしれません。
「マニュアル」というのは、人によって変わるものではありません。
なので、速く覚えてしまった方が有利です。
数学が得意な子は、こうした「マニュアル」についても理解するのが速いような気がします。
一方、数学が苦手な子は、こうした「マニュアル」を覚えるのに苦労する。
なので、仕事面でも苦労してしまうのではないか。
そんな気がしています。
文章題を解いてみても
数学ができないと、社会に出てから色々と不利になるのではないか。
それは、生徒が「文章題」を解いている様子を見ていても感じます。
数学、あるいは算数の文章題は、
「文章を読む」
↓
「必要となる計算を考える」
↓
「計算をする」
↓
「答えを出す」
という過程を取ります。
単なる計算問題では
「計算をする」
↓
「答えを出す」
という過程しか取らないので、文章題の方が過程が多い分、ややこしいです。
算数や数学が苦手な子は、
「式はあっているのに計算で間違える」
ということをしがちです。
単なる計算問題であれば解けるくらいの実力のある子でも、文章題になった途端に正答率が下がる。
それは、
「踏むべき過程が増えたことによって、頭が混乱する」
からではないか。
最近、そう感じるようになりました。
仕事における「過程」というのは、算数や数学の問題よりも、なお一層複雑です。
「過程が複雑になればなるほど、ミスをしやすい」
というのは、誰しもそうだと思います。
なので、
「過程が複雑になってもミスをしない」
という練習をする必要があると思います。
算数や数学の練習というのは、そうしたものに適している。
そのような気がします。
「思考過程」は大事
数学の「知識」そのものは、社会に出てから使わないかもしれません。
ですが、その際に養われる「思考過程」のようなものは、社会に出ても有益。
というよりも、その部分を小さいうちに鍛えておかないと、社会に出て苦労する。
そのようなことを感じます。
なので、生徒がいくら
「数学なんて、社会に出てから使わないんだから、勉強しても無駄」
と言っても、
「そうだね」
と聞き流して、ゴリゴリと数学を勉強させるのが「大人のやさしさ」なのかな。
なんてことを、代入法を教えていると思います。
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