勉強ができない子の「致命的な弱点」
2026/6/17
指示通りに動けない
勉強が苦手な生徒を指導していると、共通して感じることがあります。
それは、
「指示した通りに動くことができない」
という点です。
例えば、英語の単語の覚え方について。
「覚える時は、このように書いてみよう」
「覚えた後は、確認してみよう」
「確認する時は、このようにチェックしてみよう」
と、やり方を教えます。
それほど複雑な内容ではありません。
学力が高い生徒は、一度説明すると、だいたいその通りに行動できます。
さらに優秀な生徒になると、こちらの指示をそのまま実行するだけではありません。
「先生のやり方で大事なのは、この部分だな」
と、こちらの意図まで理解し、自分なりに工夫して動くことができます。
一方、勉強が苦手な生徒の場合、同じように指示を出しても、なかなかその通りにできません。
むしろ、他の生徒よりも丁寧に、ゆっくりと、わかりやすく教えている。
それでも、指示通りに動けない。
そのような違いを見ていると、
「そもそも、こちらが伝えた言葉を正確に理解できていないのではないか」
そう感じることが、少なくありません。
結局のところ、勉強が苦手な生徒の多くが、
「言語理解力」が十分に育っていない
と感じています。
相手の話を聞く。
言葉の意味を理解する。
指示された内容を頭の中で整理する。
その内容に合わせて行動する。
言葉が認識できず、この一連の流れが滞ってしまうため、適切に動けないように感じられます。
大人になっても…
子供のうちであれば、「仕方ないな…」で済みます。
心配なのは、この状態が大人になっても続いた場合です。
例えば、自分が、職場で部下に仕事を依頼する立場だとします。
一人は、一度説明すれば内容を理解し、指示通りに動いてくれる。
もう一人は、同じ内容を何度説明しても、見当違いな行動をしてしまう。
どちらの人に仕事を任せたいと思うでしょうか。
おそらく、多くの人は前者を選ぶはずです。
「学歴だけで人を評価するのはおかしい」
これは、その通りだと思います。
ただ、もし自分が採用する側だったら、学歴を一つの判断材料にしてしまう気持ちも、何となく理解できます。
なぜなら、実際に生徒を見ていると、
「指示されたことを正確に実行できる」
「相手の意図を理解して、自分で考えて動ける」
という生徒は、学力が高い層に多いからです。
もちろん、学歴そのものが、その人のすべての能力を保証しているわけではありません。
ただ、ある程度の学力があるということは、文章を正確に読みとり、状況を理解し、自分なりに考えて行動してきた可能性が高い。
採用する側は、そこを見ているのではないかと思います。
以前読んだ本の中で、高卒の生徒を就職させる際に苦労することとして、
「生徒が、自分自身で、志望理由を書くことができない」
という高校の先生の話を読んだことがあります。
会社になぜ入りたいのかを言葉にできない。
自分に何ができるのかを説明できない。
これは、「高卒だから就職ができない」という話ではないような気がしています。
「自分の考えを、自分の言葉で表現できない」
「相手の説明を理解して行動することができない」
ということが、就職の場面で不利になる、ということなのではないかと思っています。
今後の塾に求められるもの
そう考えると、塾で取り組むべきことは、単に「テストの点数を上げる」ことだけではありません。
学生のうちに、いかに言語能力を高めるか。
これが、非常に重要なテーマになります。
問題文を正確に読む。
先生の説明を聞いて、内容を理解する。
わからないことを言葉にして質問する。
自分が間違えた理由を考える。
相手に伝わるような文章を書く。
こうした力は、勉強を通じて鍛えることができます。
そして、これはテストのためだけの力ではありません。
社会に出て、生きていくために必要な力です。
今後、AIがさらに普及すると、言語能力の重要性はますます高まると思います。
AIに何をさせたいのか。
どのような回答がほしいのか。
返ってきた答えが適切なのか。
どのように修正する必要があるのか。
これらを判断するためには、言葉を理解し、使いこなす力が必要です。
指示の内容を自分で理解できなければ、AIに適切な指示を出すこともできません。
AIを使いこなすどころか、AIが出した答えを、そのまま受け入れるだけになってしまいます。
だからこそ、勉強を通じて言語能力を高めていく必要があります。
言語能力の育成。
ここを伸ばすことが、これからの塾に最も求められる役割の一つなのではないか。
生徒たちを指導しながら、そんなことを考えています。
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