「質問力」を鍛える
2026/7/16
「質問大歓迎!」
AIに広告を作らせていたところ、「質問大歓迎!」というフレーズが出てきました。
おそらく、どこかの塾の広告で使われている言葉をマネしたのだと思います。
確かに、「質問大歓迎!」という言葉には、面倒見の良さをアピールする効果があります。
「分からないところがあれば、何でも聞いてください」
「一人一人丁寧に対応します」
そうした印象を与えることができます。
ただ、私はそのフレーズを削除するように指示しました。
なぜなら、私は「質問大歓迎」という考え方とは少し違うからです。
もちろん、「質問をする」という姿勢は大事です。
分からないところをそのままにしない。
自分から聞きに行く。
これは勉強において、とても重要です。
しかし、質問であれば何でもよいわけではありません。
大事なのは、質問の「内容」です。
何でも聞けばいいわけではない
私は、YouTubeで企業コンサル系の動画を見るのが好きです。
その中で、たまに講師の方が、質問者に対して厳しめに答える場面があります。
「もう少し自分で調べてから質問してください」
という趣旨の回答です。
少し冷たいように感じるかもしれません。
しかし、その理由も何となく分かります。
質問をする人の中には、「何でもかんでもすべて聞く」というタイプの人がいます。
少し調べれば分かりそうなこと。
自分で考えれば、ある程度答えが出そうなこと。
そうしたことまで、すぐに人に聞いてしまう。
そして、聞いた時点で満足してしまう。
そこから自分で動こうとしない。
こういう質問の仕方では、なかなか成長しないと思います。
勉強でも同じことが起きる
これは、勉強でも同じです。
「ちょっと自分で調べれば分かること」
「少し考えれば気づけること」
「教科書や解説を読めば分かりそうなこと」
そうしたことまで、すぐに質問で済ませようとする生徒がいます。
本人には悪気がないのかもしれません。
ただ、そこで何でもかんでも答えてしまうと、生徒はだんだんと自分で考えなくなります。
講師は、基本的に「教えたがり」です。
生徒から質問されると、つい答えたくなります。
質問に答えれば、その場では生徒も分かった気になります。
講師側も、教えた気になります。
しかし、それを繰り返していくと、生徒が講師に依存してしまいます。
分からなければ、すぐ聞けばいい。
自分で考えなくても、先生が教えてくれる。
そういう姿勢になってしまうと、自分で伸びる力を失います。
あえて答えないこともある
そのため、私は生徒の質問に対して、あえて答えないことがあります。
「自分で考えていないな」
「ラクをしようとしているな」
「この子だったら、解説を読めば理解できるな」
そう感じた時には、
「まず自分で調べてみなさい」
「解説をもう一回読んでみなさい」
「調べて分かったら、あとで教えて」
という形で返すことがあります。
これは、自分で考える力をつけてほしいからです。
勉強で大事なのは、先生に答えを教えてもらうことではありません。
自分で考え、自分で調べ、自分で理解しようとすることです。
その力がつかなければ、いつまでたっても誰かに頼る勉強になってしまいます。
いい質問とは何か
では、どのような質問がよい質問なのでしょうか。
私は、
「自分なりに考えたことがうかがえる質問」
がよい質問だと思っています。
たとえば、
「ここまでは分かったのですが、ここから先が分かりません」
「なぜこの式になるかが分かりません」
「解説のこの部分が、何を言っているのか分かりません」
「自分の式と解説の式と、どこが違いますか」
こうした質問は、とてもよい質問です。
なぜなら、その生徒が自分で考えようとしていることが分かるからです。
ただ答えを求めているのではなく、自分で理解しようとしている。
その途中でつまづいている。
だから、こちらもサポートしやすいです。
どこでつまずいているのかが分かれば、必要な部分だけを説明できます。
生徒にとっても、自分で考えた上で聞いているので、理解が深まりやすくなります。
苦手な子の質問は大事にする
一方で、勉強が苦手な生徒が質問してきた時には、できるだけ対応するようにしています。
なぜなら、勉強が苦手な子にとって、「自分から質問する」ということ自体が大きな一歩だからです。
分からないことを、分からないと言う。
先生に聞きに来る。
これは簡単なようで、勉強が苦手な子にとっては勇気がいることです。
そのため、そういう生徒が質問してきた時には、できるだけ対応します。
そして、いい質問であった場合には
「いい質問ですね」
と、池上彰よろしく答えるようにしています。
このように質問に答えることで、
「少し分かった」
「自分でもできるかもしれない」
と、自信をつけてほしいからです。
質問への対応は、生徒の状況によって変わります。
自分で考えられるのに考えようとしていない生徒には、あえて答えず考えさせる。
一方で、苦手な生徒が一歩踏み出して質問してきた時には、できるだけ受け止める。
同じ「質問」でも、その意味は生徒によって違います。
質問力を鍛える
だからこそ、私は「質問大歓迎」という言葉には違和感があります。
質問することは大事です。
しかし、何でも聞けばいいわけではありません。
大切なのは、「質問力を鍛える」ことです。
自分でどこまで分かっているのか。
どこから分からないのか。
何を聞きたいのか。
自分ではどう考えたのか。
そこを整理して質問できるようになることが大切です。
これは、勉強だけでなく、将来にもつながる力だと思います。
仕事でも、何でもかんでも人に聞く人は、なかなか成長しません。
反対に、自分で調べ、自分で考えた上で、必要なことを質問できる人は成長します。
質問とは、答えをもらうためだけのものではありません。
自分の理解を深めるためのものです。
自分で考える力を伸ばすためのものです。
だからこそ、生徒たちには「質問の仕方」も学んでほしいと思っています。
分からないことを聞くのは大事です。
しかし、その前に少し自分で考えてみる。
解説を読んでみる。
教科書を見返してみる。
それでも分からなければ、
「ここまでは分かったけれど、ここからが分からない」
と質問する。
そういう質問ができるようになれば、勉強の質は大きく変わります。
私は、ただ質問を歓迎する塾ではなく、生徒の「質問力」を鍛える塾でありたいと思っています。
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