塾を変えて成功する人、失敗する人
2026/7/28
「成績が上がらないので、塾を変える」
そのように考える人は少なくありません。
実際に、塾を変えたことで成績が上がる人もいます。
一方で、別の塾に移っても成績が上がらず、むしろ以前より下がってしまう人もいます。
私の個人的な肌感覚で言えば、
「塾を変えて成功する人」よりも、
「塾を変えて失敗する人」
の方が多いように感じます。
なぜなら、成績が上がらない原因を十分に考えないまま、
「今の塾が悪い」
「先生の教え方が悪い」
「もっと自分に合う塾があるはずだ」
と考え、「環境を変えれば何とかなる」としてしまう人が多いからだと思います。
もちろん、塾が合っていないケースもあります。
ただ、成績が上がらない原因の多くは、塾だけにあるわけではありません。
厳しい言い方になりますが、ほとんどの場合、成績が上がらない主な原因は
「生徒本人に、その原因がある」
というのが、正直な感想です。
環境だけを変えても、結果は変わらない
新しい塾に入った直後は、気持ちが引き締まります。
教材も新しくなり、先生も変わる。
大きく環境が変わり、また自分から言い出して変更した以上、最初のうちは、以前よりも勉強するかもしれません。
しかし、自分自身の行動や考え方が変わっていなければ、しばらくすると元の状態に戻ります。
そして、また成績が上がらなくなると、
「この塾も自分には合わなかった」
と考えるようになります。
しかし、本当に塾だけが原因なのでしょうか。
成績が上がらなかった時には、環境を疑う前に、
「自分は、やるべきことを本当にやっていたか」
と振り返る必要があるように思います。
この「自己反省」をしないまま環境だけを変えても、同じことを繰り返す可能性が高いのです。
塾を辞めた後、うまくいかない生徒は多い
当然ですが、うちの塾でも途中で辞めていく生徒はいます。
退塾後、どのようになったのかを知ることは、それほど多くありません。
ただ、他の保護者の方から、辞めた生徒のその後について話を聞くことがたまにあります。
そのような話を聞く限りでは、
「塾を辞めてから、大きく成績が伸びた」
というケースは、ほとんど聞きません。
むしろ、
「以前よりも成績が下がってないか…」
と感じることの方が多いように思います。
もちろん、それだけで、
「うちの塾を辞めたから成績が下がった」
と言うつもりはありません。
「場所を変えれば自然に成績が上がる」
と安易に考え、自分自身の課題と向き合わないまま塾を変えた。
その結果、新しい塾でも同じ問題が起こっているような気がします。
辞めた生徒から届いた、うれしい報告
一方で、途中で塾を辞めた生徒の中に、
「立派に成長したな」
と思った生徒がいます。
その生徒は、中学3年生の時に、思うように成績が伸びず、うちの塾を辞めました。
本人は、そこまで塾を変えたいと思っていたわけではなかったようです。
ただ、保護者の強い意向があり、別の塾へ移ることになりました。
その後、本人が目指していた公立高校には進学できず、私立高校へ進学しました。
高校入試では、本人にとって納得のいく結果ではなかったと思います。
しかし、その生徒は高校に進学してから一念発起しました。
自分で勉強に励み、努力を積み重ね、その結果、大学に総合型選抜で合格しました。
大学合格が決まった後、本人から電話で報告をもらいました。
その時に、
「中学生のときに先生に習ったやり方で、高校でも英単語を覚えていました」
と話してくれました。
この言葉は、今でもよく覚えています。
大切なのは、自分の課題に気づくこと
その生徒が成長できたのは、単に塾を変えたからではないと思います。
高校入試がうまくいかなかった。
その悔しさを胸に、
「自分には何が足りなかったのか」
を本人なりに考え、気づき、高校では、自分の意思で努力したからです。
中学生の頃は、そこまでの「必死さ」はありませんでした。
様々な経験を経た中で、自分自身で考え、行動できるようになっていました。
塾を辞めていった生徒が、時間を経て成長し、わざわざ報告してくれた。
塾講師として、これほどうれしいことはありませんでした。
「他人のせい」にしている間は成長できない
厳しい言い方になりますが、
「先生が悪い」
「塾が悪い」
「学校が悪い」
「問題が難しすぎる」
と、成績が上がらない理由を、すべて他人や環境のせいにしている人は、成長できません。
もちろん、周囲に問題がある場合もあります。
教え方が合わないこともあれば、集中できない環境に置かれていることもあります。
そうした場合には、環境を変えることが必要です。
しかし、環境を変えることと、自分自身の問題から目をそらすことは別です。
塾を変えるのであれば、
「今の塾には、どのような問題があるのか」
だけではなく、
「自分は、これまで何を十分にできていなかったのか」
も考える必要があります。
自分の改善点を持ったまま新しい環境に入るのと、
「新しい塾に行けば、先生が何とかしてくれる」
と思って入るのとでは、その後の結果が大きく変わります。
塾を転々としている人
たまに、短期間のうちに何度も塾を変えている人が来ることがあります。
少し成績が上がらないと、別の塾へ行く。
そこでも結果が出ないと、また違う塾へ移る。
集団塾から個別指導へ行き、個別指導から家庭教師へ行き、さらに別の塾へ移る。
そうして環境を次々と変えているようです。
しかし、そのような生徒が大きく成長したという話は、ほとんど聞いたことがありません。
このような人は
「自分に合う塾さえ見つかれば、成績が上がる」
と思い続けます。
もちろん、よりよい環境を求めるのは悪くありません。
しかし、どれほど優れた塾であっても、生徒自身に、その塾の指導を受け入れようとする意志がなければ、成績を上げることはできません。
「完璧な塾」や、「自分を自動的に成長させてくれる先生」は存在しません。
「青い鳥」は自分自身の中にいる
メーテルリンクの『青い鳥』では、幸せの象徴である青い鳥を探して旅に出ますが、最後には、探していたものが自分たちの身近なところにあったことに気づきます。
塾選びにも、似たところがあるように思います。
「もっとよい塾があるのではないか」
「もっと簡単に成績を上げてくれる先生がいるのではないか」
「自分にぴったり合う勉強方法がどこかにあるのではないか」
と探し続ける。
しかし、本当に必要なものは、「自分自身の中にある」のかもしれません。
やるべき勉強をする。
言われたアドバイスを素直に受け入れてみる。
こうした当たり前のことを、自分の意思で続けられるかどうかです。
結局、「青い鳥」は自分自身の中にいる。
そのことに気づけるかどうかが、成長の分かれ目になるのだと思います。
塾を変えて成功した生徒
塾を変えて成功したケースもあります。
特に印象に残っているのは、中学2年生の初めに、うちの塾へ来た生徒です。
その生徒は、中学1年生の時には別の塾へ通っていました。
中学に入学した直後のテストでは、430点ほど取れていました。
しかし、テストを重ねるにつれて点数が下がり、中学1年生の後半には400点を取れなくなっていました。
そうした状況に危機感を覚えて、中2になってから、うちの塾に通うようになりました。
うちの塾へ移ってきてからは、中2の段階では、400点を下回ることなく進みました。
中学3年生になり、総合テストが始まってからも、大幅に点数を落とすことはありませんでした(最低で359点)。
入塾当初に考えていた志望校は蟻ヶ崎でした。
しかし、最終的には県ヶ丘へ余裕を持って合格していきました。
この生徒は
「塾を変えたことで成功した」
と言えると思います。
成功した理由は、塾だけではない
ただし、この生徒が伸びた理由を、
「うちの塾の指導方法が優れていたから」
と説明するのは、正しくないと思っています。
この生徒は、もともと努力のできる生徒でした。
教えられたことを素直に実行し、自分でコツコツ勉強を続ける力もありました。
ただ、以前の環境では、そうした良さが十分に発揮できていなかったのだと思います。
そこへ、うちの塾の学習方法や環境が合った。
本人の努力と塾の方針がかみ合い、着実に成長していった。
それが事実だと思います。
どれだけよい環境を用意しても、本人に努力する意思がなければ結果は出ません。
反対に、本人が努力できる生徒であれば、自分に合った環境を得たことで、大きく伸びることがあります。
つまり、塾を変えて成功するかどうかも、結局のところ「本人次第」と言えるのです。
塾を変える前に、考えてほしいこと
私は、塾を変えること自体に反対しているわけではありません。
あまり考えたくはないのですが、保護者の方から話を聞く限りでは、首をかしげたくなるような指導をされている塾があるのも、また事実です。
現在の塾が、生徒に明らかに合っていない。
教室の雰囲気が悪く、集中できない。
塾の方針と家庭の希望が大きく異なっている。
そのような場合には、塾を変えた方がよいこともあります。
ただし、塾を変える前に、まず本人が振り返る必要があります。
宿題は、毎回きちんとやっていたか。
先生の指示を、素直に実行していたか。
家庭学習の時間を確保していたか。
これらを振り返り、
「自分にも改善すべきところがあった」
と自覚することが重要であり、大切です。
自己反省ができれば、環境を変える意味が生まれる
塾を変えるだけでは、成績は上がりません。
しかし、自分自身の問題点を認めたうえで塾を変えるのであれば、新しい環境を生かせる可能性があります。
「前の塾では宿題を後回しにしていた。次は、その日のうちに取り組もう」
「分からない問題を放置していた。今度は必ず質問しよう」
「教材を何冊も中途半端にした。次は一冊を繰り返そう」
そのように、自分の行動を変える覚悟と勇気を持って、新しい塾へ行く。
それならば、塾を変えることが大きな転機になるかもしれません。
反対に、すべてを前の塾のせいにし、自分は何も変わらないまま、環境だけ変える。
その場合、新しい塾でも同じ結果になる可能性が高いでしょう。
最後は本人次第
塾は、生徒の成長を支える場所です。
勉強方法を教えたり、学習する環境を用意したり、間違いを修正したりすることはできます。
しかし、本人の代わりに勉強することはできません。
英単語を覚えるのも、計算問題を繰り返すのも、間違えた問題を解き直すのも、最後は本人です。
塾を変えることで、よいきっかけを得られることはあります。
先生との相性がよくなり、勉強に前向きになることもあります。
ただし、その環境を生かせるかどうかは、本人の姿勢にかかっています。
塾を変えても構いません。
けれども、その前に一度、
「成績が上がらなかった原因は、本当に塾だけにあったのか」
と考えてほしいと思います。
自分自身に足りなかったものを振り返る。
そして、次の環境では自分の意識と行動を変える。
塾を変えること以上に、その自己反省こそが、成績を上げるために最も重要なことなのだと思います。
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