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基礎を「覚える」

2026/9/10

「自分の意見を述べる」前に

現在の教育では、

「自分の意見を述べること」
「自分の頭で考えること」

が、とても大切にされています。

私自身、その方向性に異論はありません。

自分で考え、自分で判断し、自分の言葉で表現できる。

最終的には、生徒たちにそうなってほしいと思っていますし、そうした生徒を一人でも多く育てたいとも思っています。

ただ、生徒たちを日々指導していると、その前に必要なものがあるのではないか、と感じることがあります。

それが、「知識」です。

知識がなければ、考えることも難しい

「自分の頭で考えなさい」

そう言われても、そもそも考えるための材料がなければ、なかなか考えることはできません。

たとえば歴史について意見を求められても、歴史について知らなければ、考えることは難しいでしょう。

文章を書く場合でも同じです。

語彙が少なければ、自分の考えをうまくまとめることはできません。

つまり、「考える力」と「知識」は対立するものではなく、

知識があるからこそ、考えることができる

という面がかなり大きいのではないかと思っています。

特に小中学生の時期については、

「どれだけ基礎的な教養を身につけられるか」

これが非常に重要ではないでしょうか。

入試でも、結局は「知っている子」が強い

少し身もふたもない言い方をすると、入試でも「知識がある生徒」の方が強いです。

英単語をたくさん知っている。
漢字や語彙を知っている。
数学の公式や基本的な解法を覚えている。
理科や社会の基本事項をきちんと覚えている。

こうした生徒の方が、知識が少ない生徒よりも、圧倒的に有利です。

生徒の解答をチェックしていても、

「この子は独創的な意見を書いているな」

という答案よりも、

「他の生徒が覚え切れていないところまで、きちんと覚えているな」

と感じる答案の方を、私は高く評価することがあります。

なぜなら、そういう生徒の方が、「地道な努力ができる」と感じられるからです。

そうした姿勢の生徒の場合、その後さらに伸びていく可能性が高いように感じられるからです。

小中学生に「エキセントリックな意見」は必要なのか

もちろん、自分なりの意見を持つことは大切です。

ただ、小中学生の段階で、

世の中を驚かせるような斬新な意見や、誰も思いつかないような独創的な発想を求める

のは、ちょっと難しいのではないか、と私は思っています。

それよりも、

「基本的な内容を正しく理解している」
「習ったことを自分の言葉で整理できる」
「必要な知識をきちんと覚えている」

こうしたことの方が、長い目で見れば、その後の成長につながるのではないでしょうか。

基礎がしっかりしていれば、成長していく中で、自分の考えを表現することができるようになっていきます。

反対に、基礎がないまま「自由に考えてみよう」と言われても、そもそも何を考えればいいのかわからない。

実際に、勉強が苦手な生徒に対して

「間違えてもいいから、自分の考えを書いてみよう」

と促してみても、困惑してしまい、固まってしまいます。

「詰め込み教育」は本当に悪いのか

「詰め込み教育」という言葉には、悪いイメージがつきまといます。

それに対して、

「アクティブラーニング」
「主体的な学び」
「自ら考える学習」

という言葉は、非常に聞こえがいい。

ただ、実際に小中学生を指導していて感じるのは、

こうした学習が有効に機能するには、一定以上の基礎学力が必要なのではないか

ということです。

すでに多くの知識を持っている生徒であれば、「自分で考えてみよう」と言われた時に、頭の中にある知識を組み合わせながら考えることができます。

一方で、基礎知識そのものが十分でない生徒に同じことを求めても、なかなかうまくいきません。

「何をすればいいかわからない」
「何も思いつかない」

そして、時間だけが過ぎていく。

それが一般的な反応です。

ときには「覚えろ」でいい

だから私は、小中学生の教育については、ときにはもっと単純でいいのではないかと思っています。

漢字を覚える。
英単語を覚える。
九九を覚える。
公式を覚える。
都道府県を覚える。
歴史上の重要人物や出来事を覚える。

それでいいのではないでしょうか。

大人が難しい教育理論を持ち出すよりも、

「これは大事だから、覚えろ」

と伝え、繰り返し練習させる。

その方が、結果的にはその子の将来の選択肢を広げることもあると思っています。

また、子どもたちも「ゴール」が設定されている分、安心して勉強に取り組んでくれる。

そのように感じています。

「自主性」と「放置」は違う

最近気になるのが、「自主性」という言葉です。

自主性を尊重することは大切です。

しかし、それが行き過ぎれば、単なる「放置」になってしまうのではないか。

実際、

「自主学習」

という名のもとに、何も強制されてこなかった結果、ある程度の学年になっても、基本的なことすら身についていない。

そうした子どもに出会うことがあります。

こうした子どもに対して、

「自分で考えなさい」

と言い続けるのは、ちょっと酷なような気がします。

まず覚える。そして考える

「覚えること」と「考えること」。

どちらが大切かという話ではないと思います。

順番の問題です。

まず、覚える。
知識を身につける。
基礎を固める。
そして、その知識を使って考える。

小中学生の場合、この順番が大切なのではないかと思います。

「将来、自分の頭で考えられる人になってほしい」

そう願うからこそ、その前段階である小中学生には

しっかりと基礎を覚えさせる。

現場で子どもたちと接していると、どうしてもこうした考え方の方がしっくりきてしまいます。

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