言葉を伝える難しさ
2022/2/15
先週と今週で、安曇野市の中学では三学期期末テストが行われています。
「今年度最後のテスト」ということで、年明け以降ぼんやりと過ごしていた生徒たちも、ここ数日は必死になって勉強に取り組んでいます。
そんな生徒たちの勉強する様子を見ていて、「『伝える』ということはなかなか難しいことだな」ということを改めて思いました。
「3回解く」の意味
例えば塾では、テスト対策の方法として、
「テスト範囲の学校ワークを、3回繰り返して解く」
ということを指導しています。
1回や2回だとなかなか定着しませんが、おもしろいもので、これが3回目になると、一気に解ける問題が増えてきます。
ちなみに、これは私が中学時代に、兄から教わった勉強法になります。
社会のテスト勉強をしようと思ったのですが、さてなにをやればいいのかわからない。
「とりあえずテスト範囲の教科書内容を覚えれば何とかなるだろう」
ということで、教科書内容をまとめようと、ノートに書き始めました。
が、全然進まない。
「これだと時間がいくらあっても足りないな…」
と思っていたところ、その様子を見ていた兄が一言。
「お前な~、そんなことやってたら全然終わんね~ぞ!」
「社会なんてな~、テスト範囲の部分の問題ひたすら解いときゃいいんだよ」
とのこと。
「うるせ~な~」と思いつつ、「まあ確かにそうだな」と思い直し、言われたとおりに問題を繰り返し解くようにしました。
最初のうちは全く解けなかったので、「これで本当に大丈夫なのかな…」と思っていました。
が、3回くらい繰り返していくと解けるようになってきます。
「ああなるほど、こうやって覚えていけばいいんだな」
と、この時にテスト勉強の「コツ」をつかんだと思います。
また、塾で指導するようになり、他の塾の先生方の話を聞く機会が増えました。
その時にも、多くの塾の先生が、テスト対策として「ワーク3回繰り返し」ということを述べられていました。
なので、「ああ、やっぱり3回解く、ということは、みんな共通のやり方なんだな」ということを思いました。
なので、それをそのまま生徒たちに伝えています。
意図が伝わらない
私が兄から言われたのは、「繰り返し問題を解きゃいいんだよ」ということだけでした。
なので、生徒にもそれで通じると思ったのですが、これが全然通じない。
よく「ワーク繰り返して解いているんですけど、全然できるようになりません…」
という相談が来ます。
最初のうちは「おかしいな…」と思っていたのですが、細かく生徒の様子を見ていると納得しました。
「3回」という数字だけがひとり歩きして、ただ問題を解いているだけの子があまりに多かったのです。
「3回繰り返す」という言葉の中には、繰り返し解いていく中で、「間違えた問題について、自分で解答を見て確認していく」という動作が含まれています。
この部分をまったくやらず、ただ
「問題を解く→解答で○×つける」
で済ませている生徒があまりに多くてビックリしました。
「そうか、そこから指導していかないといけないのか」
そう思いながら、指導しています。
同じ言葉を使っても
同じように「ワーク3回解く」という表現で、伝わらない生徒もいれば、一方それだけでこちらの意図が伝わる生徒もいます。
それは結局のところ、「どのようにすれば、自分の実力を高めることができるのか?」を考えているかどうか、という点に尽きるのかな、と思います。
「3回」という数字しか意識していない生徒は、「何となく」「しぶしぶ」勉強している感じがします。
一方、それだけで通じる生徒は、こちらが言いたいことの「主旨」をしっかりと受け取ってくれている気がします。
「自主性」といえばそれまでですが、この部分をどう育てていくのか。
こちらから言い過ぎたら「自主」ではない気がします。
かといって任せっぱなしにしたらいつまでたっても先に進まない感じです。
このあたりのさじ加減が本当に難しいな、と思います。
人に「伝える」ということは本当に難しいことだな。
この仕事をするようになって、そのことを本当に感じています。
☆YouTubeチャンネルもやっています
https://www.youtube.com/channel/UCcorE8DZR8FqA_EX2tlHo-A/featured?view_as=subscriber
ぜひご覧ください。