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旧制一中

旧制一中

2022/2/14

最近、こちらの本を読みました。

旧制一中

「旧制第一中学」の面目

私が高校生の時、年配の方から「昔、深志は全国的にも進学校として有名だった」という話を聞かされたことがあります。

「どうせ年寄りの自慢話でしょ…」と思い、その時は右から左へ聞き流していました。

ですが、この仕事をするようになると、自然と高校の進学実績などに興味を持つようになります。

その中で、本当に、昔はかなりの進学校だったということを知るようになってきました。

「もう少しまとまった情報が欲しいな」

と思っていた時に見つけたのが、こちらの本です。

「旧制第一中学」とは

「旧制第一中学」(以下一中)とは、ざっくりといえば、「明治から戦後まで各都道府県に設置されていた、その地域で一番最初にできた中学校」です。

「中学」となっていますが、今でいう「高校」相当にあたります。

設立当時は、小学校までが義務教育でした。

優秀な生徒でなければ中学まで進学しなかったことから、「一中」は、その地域の優秀な人材が集まる学校として、一目置かれる存在となっていました。

戦後は高校として、一中を引き継ぐような形で現在も存在しています。

県庁所在地のある都市に「一中」が存在することが多いのですが、長野県の場合は、松本に一中が置かれました。

長野で一中を歴史に持つ高校、それが「松本深志高校」になります。

昔はマジですごかった

本の中で、「東大合格者数」がまとめてあるページがありました。

東大合格者数
「「旧制第一中学」の面目」より

「松本深志 31」とあります。

ちなみにこの数字は、全国の一中継承校の中では6位に当たる数字のようです。

「昔、自慢話していたおじさんの話は本当だったんだな…」とこれを見て思いました。

この数字は1968年のものなので、今から54年前の話になりますが、その当時は、確かに全国的にも有名な進学校だったんだろうな、と思いました。

今はどうかというと…

一方で、現在長野県のトップ校と言えるのは「長野高校」です。

それは数字でハッキリ現れています。

長野県の東大合格者数
「「旧制第一中学」の面目」より

「長野県の東大合格者数のトップ校」をまとめた表がこちらです。

最大数を出した1968年以降、長野高校がトップの座を占めるようになります。

1980~90年代はやや持ち直しているものの、2010年以降は昨年の2021年まで、長野高校が1位の座をキープしています。

ちなみに、今年の深志の東大合格者数は2名でした。

こうした状況を見ると、まだしばらく長野高校のトップの座は続くような気がします。

悪しき伝統

この表を見て思ったのは、「自分が卒業したあたりから、長野高校に負けるようになっているな」ということです。

私が現役の時の雰囲気は

・深志は「4年制」
・浪人するのが当たり前

というものでした。

現役では受からないので、高校を卒業したら、駅前の「松ヨビ」に通う。

それが当たり前の雰囲気でした。私もそのルートをたどりました。

そのため、現役ではあまり勉強を真剣にやりませんでした。

「1年浪人して頑張ればなんとかなる」

この甘えが、浪人してからも続き、結果大学入試では、とても苦労することになりました。

「もっと現役の時に必死に勉強しておけばよかった」

という自分自身の後悔。

それから、現在も深志は「4年制」と言われている、という話を聞いて、

「悪しき伝統を作っちゃったな…」という後輩に対する申し訳なさ。

そうしたうしろめたさがあるので、「何とかこうした風潮を変えたいな」と思っているのですが、なかなか現実は厳しいです。

せめてもの罪滅ぼしとして、高校に進学する塾の教え子たちには、

「大学目指すなら、現役で受からないとダメだよ」

という指導をしています。

私のような苦い経験を、生徒たちにはなるべくしてほしくない。そう思っています。

自治を叫びて

「大学進学実績」という面ではなかなか厳しい状況ですが、本の最後では、深志を称賛する内容が載っていました。

それは「深志には制服や校則がない」という点です。

「深志には制服や校則がないのですか?」

という問いに対して、

「読んで字の如く、本校には校則がないということです。」

「ではどうして本校には「校則がない」のでしょうか。」

「「校則がない」ことの意味を考えて下さい。」

との解答が、ウェブサイトでなされているとのこと。

この部分が「誇り高い。これこそ伝統なのだろう」

と絶賛されていました。

深志は「自治」という言葉が大好きです。それは今も昔も変わらないと思います。

そして、これが「伝統」ということなのだと思います。

絶賛されている「制服なし」ですが、私のような服装に無頓着な人間にとっては苦痛以外の何ものでもありませんでした。

「人それぞれ」ということなのでしょう。

ちなみに「自治」という言葉も、高校時代にあまりに連発されたので、今もあまり好きではありません。正直、極力使わないようにしている気がします。

ただ、「自立型」をうたい文句として、現在塾をやっている自分の身の上を振り返ってみると、なんだかんだいって、高校時代の影響をしっかり受けているのかも、なんてことを思いました。

無意識のうちに影響を及ぼしている。これこそが「伝統の力」なのかもしれません。

☆YouTubeチャンネルもやっています
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ぜひご覧ください。

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