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学力は遺伝で決まるのか②~教育にできることは何か~

2026/6/4

「勉強しても意味がない」のか?

前回の記事では、

「学力には遺伝の影響が大きい」

という話について書きました。

ただ、誤解してはいけないのは、「遺伝の影響が大きい」からといって、

「勉強しても意味がない」

ということではない、という点です。

これは、非常に大事なことだと思います。

たしかに、学力には生まれ持った傾向があるのかもしれません。

理解力、記憶力、読解力、物事を論理的に考える力。

そうした部分には、個人差があるように感じます。

実際、塾で多くの生徒を見ていると、同じように説明して、同じような問題を解かせているのに、吸収の速さは、生徒一人一人、まるで違います。

一度説明しただけで、すぐに理解できる子もいます。

その一方で、何度も練習しても、なかなかできるようにならない子もいます。

同じ宿題を出してみても、仕上がりにはかなり差が出ます。

それは、単に

「努力しているか、していないか」

だけでは説明できない部分があると感じています。

「何を身につけさせる」べきか

生徒一人一人、理解力には埋めようのない「差」がある。

そのことを感じるようになってから、私は

「この子が大人になった時に、何を身につけておけば困らないのか」

ということを考えるようになりました。

もちろん、成績を上げることは大事です。

「高校入試」というゴールがある以上、まずは点数を取れるようにしていかなければなりません。

ただ、それだけでは不十分だとも感じています。

特に、勉強が苦手な子に対しては、

「とにかく点数を上げろ」

という目的だけでは、勉強が続きません。

最低限の学力は必要です。

漢字を読めること。
基本的な計算ができること。
文章を読んで意味をつかむこと。
人の話を聞いて理解すること。
自分の考えを言葉にすること。

こうした力は、大人になってからも必要です。

しかし、その上で、

「その子が大人になって自分の力で稼いでいくには、どう準備していけばいいのか」

そこまで考える必要があるのではないかと思うのです。

生徒によっては、私はかなり現実的な話をすることがあります。

「テストで点数なんか取れなくてもいい」
「ただし、『大人になったら、どうやって稼いでいくか』を、今から少しずつでいいから、自分で考えていきなさい」

そういう話をすることがあります。

これが正しいのかどうか、正直なところ、私にもよくわかりません。

子どもに対して、そんな現実的な話をするのは早いのではないか、という考え方もあると思います。

ただ、現実問題として、勉強が苦手な子に対して、

「もっと点数を上げなさい」
「点数が取れないのは、努力不足だからだ」

と言い続けるのも、ちょっと違うように感じています。

「考える力」を身につけさせたい

勉強が得意な子は、「勉強」で道を切り開いていけばいいと思います。

少しでも高い点数を取り、少しでも上位校を目指す。

その中で、自分の可能性を広げていく。

それも、1つの生き方です。

ただ、勉強が苦手な子については、「別の道もあるのだ」ということを伝えた方がいい気がしています。

手に職をつける。
体を使って働く。
地域の中で信頼される人になる。
自分は何に興味があるのかを見つける。
好きなことを仕事につなげていく。

そうした生き方も、立派な道です。

そのために、塾でできることは何か。

私は勉強を通じて、

「自分で考えて動く力」

を育てたいと思っています。

言われたことをただやるだけではなく、自分に何が足りないのかを考える。

できないことから逃げるのではなく、どうすれば少しでも前に進められるかを考える。

失敗した時に、人のせいにするのではなく、自分ごととして考える。

こうした力は、入試で問われる「学力」とは違います。

しかし、大人になってから本当に必要になるのは、むしろこういう力なのではないかと思っています。

みんなちがって、みんないい

「学力は遺伝の影響を受ける」

こう聞くと、勉強する意味はないような気がしてきます。

しかし、私はむしろこの事実を受けて、今の教育には

「子供一人一人に合わせた視点を持つ」

ということが求められているのではないかと思っています。

全員が、等しくできるようになるわけではない。

だからこそ、その子にあった教育を考える必要があります。

勉強が得意な子には、勉強で勝負させる。

勉強が苦手な子には、まず最低限の力を身につけさせる。

その上で、その子が自分らしく生きていく道を考えさせる。

教育の役割とは、

その子が持って生まれた能力を理解し、その子がよりよく生きていくための可能性を備えさせること

私は、そう考えています。

もちろん、簡単なことではありません。
正解もありません。
日々、迷いながら指導しています。

ただ、生徒が大人になった時に、

「自分はこうやって生きていきたいな」

と、自分で考えて行動できるようになってほしい。

得意なことを活かし、苦手なこととも折り合いをつけながら、自分らしく生きていってほしい。

そのための下準備を、小中学生のうちに、できるだけしておきたい。

そんなことを考えながら、生徒たちと向き合っています。

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