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数学ができないことで生じる「不利」

2026/8/4

「文字式の計算」

中学1年生は現在、「文字式の計算」を学習しています。

その中で、多くの生徒が苦戦するのが「分配法則」です。

例えば、

3(a+1)

という式であれば、

3a+3

と計算できます。

「かっこの外側にある3を、かっこの中のaと1の両方にかける」

という説明を受け、その通りに処理することはできます。

ところが、式が少し複雑になり、

5a+3(a+1)

となると、大混乱に陥る生徒が少なくありません。

「5aをどうすればいいのか」が分からない

この式では、まず3(a+1)に分配法則を使います。

すると、

5a+3a+3

となり、同類項をまとめて、

8a+3

となります。

しかし、数学を苦手にする生徒は、

「数字を、かっこの中のそれぞれにかける」

という部分だけが、頭の中に残っている。

そのため、式の前にある「5a」をどう扱えばよいのか分からなくなります。

5aにも3をかけてしまう。
5aも分配法則を使おうとする。
訳が分からなって、ただ「すべての数字を足す」ようにする。

その結果、さまざまな間違った答えが出てきます。

分配法則を使う場所は3(a+1)の部分だけです。

5aは、何もせずにそのまま残しておけばよい。

しかし、「数字を、かっこの中のそれぞれにかける」ということにしか意識が集中できない。

その結果、それまでに学んだ式の見方や計算のルールが、すべて頭から抜け落ちてしまうように見えます。

一つのことを教えると、それしか見えなくなる

数学が苦手な生徒を見ていると、一つのことを教えた途端、

「直前に教えたことしか頭に入らなくなっている」

ように、たびたび感じられます。

新しいルールを習うと、それまで使っていたルールが吹き飛んでしまう。

複数の知識を同時に使うことができない。

「この部分には分配法則を使う」
「この部分は、そのまま残す」
「最後に同類項をまとめる」

というように、手順を整理して考えることが難しいようなのです。

これは単に、分配法則を覚えているかどうかだけの問題ではありません。

何をどこに使うのかを判断し、順序立てて処理する力が必要になります。

数学で鍛えられる「筋道立てて考える力」

数学ができない生徒を指導していると、

「筋道立てて考えること」

に苦手さがあるように感じることがあります。

数学では、一つずつ順序立てて、整理しながら考えることが求められます。

この力を十分に鍛えないまま大人になると、仕事の場面で不利になる可能性があるのかな、という気がしています。

実際の仕事では、「一つの指示だけを実行すればよい」という場面ばかりではありません。

例えば、

「この作業は今日中に終わらせる」
「ただし、先方に確認してから進める」
「以前ミスがあったから、起きないように注意する」
「もし問題が起きたら報告する」

というように、複数の条件を同時に考えながら仕事を進める必要があります。

ところが、一つの指示を受けると、それだけが頭に残り、それ以前に伝えられたことが頭から抜けてしまう。

新しい作業を教えると、それまで守っていたルールを忘れてしまう。

このような状態では、複雑な仕事を任せるのが難しくなります。

単純な処理では、AIの方が安心できる時代

最近では、複数の条件に従って処理する仕事でも、人間よりAIの方が、正確に進められる場面が増えています。

AIは、与えられた条件を整理し、複数の指示を踏まえながら処理することができます。

単純な処理を繰り返すだけであれば、

「人に頼むより、AIに任せた方が安心できる」

という仕事は、今後さらに増えていくでしょう。

だからこそ、人間には、言われたことをそのまま実行するだけではなく、

「複数の条件を、どのように整理するのか」
「状況が変わったとき、どう対応するのか」

と、その場の状況に応じて自分で考え、行動する力が求められます。

数学では、そうした力の土台となる部分が鍛えられるような気がしています。

数学が苦手なままだと、仕事の幅が狭まる?

数学が苦手だと

「条件を整理する」
「手順を組み立てる」
「複数のルールを使い分ける」
「間違いの原因を確かめ、修正する」

といった力が身につかないような気がします。

そうすると、選べる仕事の幅は狭くなる可能性があります。

特にこれからは、指示された単純作業だけをする仕事は、AIやロボットに置き換えられていくでしょう。

人間に求められるのは、

「状況を理解し、自分で考え判断し、行動する」

ことです。

数学の問題を解くことは、その練習にもなると思います。

数学ができないことによる不利は、ただ「数字に弱い」ということだけではない。

本当の不利は、

「複数の条件が与えられても、直前に教えられた一つの手順にしか対応できなくなること」

生徒たちを見ていると、そう感じます。

将来の仕事・能力の幅を広げるためにも、数学を通して、

複数の情報を整理し、自分で筋道を立てて考える力

を鍛えてほしいと思います。

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