「自主性」か「放置」か
2021/11/26
現在、保護者面談を実施中です。
保護者の方と色々な話ができるので貴重な時間です。
その時に、保護者の方から「悩み」として出てくるのが「自主学習」です。
「自主学習」とは
学習指導要領が変わった影響で、生徒の「自主性」が重んじられるようになりました。
その一環として、最近では「宿題を指定しない」小中学校が増えているようです。
その代わりに提出を求められるのが「自主学習ノート」です。
ノートの使い方は、クラスによって違いますが、例えば
「ノート2ページに、自分で調べたり考えたりしたことを書いて提出する」
という感じの内容のようです。
「頭ごなしに、先生から言われたことをやるのではなく、自分でやりたいことを考えて、興味のあることを調べる」
という趣旨の課題だと思います。
これによって、生徒の自主性を伸ばそうとする狙いがあるのだと思います。
理想はいいのだが…
「生徒の自主性を伸ばす」という趣旨はいいと思います。
ですが、「現実に機能しているのか?」というと話は別です。
保護者の方のお話しを聞いている限りでは「う~ん…」という状況です。
自分も生徒の様子を見ていると、これまで通りに「『宿題』を課されているクラスの生徒」と、「『自主学習』をすすめているクラスの生徒」の様子を見比べると、「宿題を課されているクラスの生徒」の方が、学力的には安定しているように思います。
というよりも、「自主学習になっている生徒」の学力が著しく下がっている、という印象を受けます。
特に小学生の場合にはそれが感じられます。
「自主学習」の問題点
現在行われている「自主学習」の問題点は
①やらなくても何も言われない
②何をやればいいのかわからない
③自分の好きなことばかりやる
という点が挙げられます。
①ですが、「自主」学習なので、やるかやらないかは生徒に判断が委ねられています。
小中学生であれば、自分からすすんで勉強ができる子は相当限られます。
その結果、「何もやらない」という生徒が多いように感じています。
②ですが、「自分でやりたいことを考えろ」と言われても、そこまで勉強に興味を持っている生徒はほとんどいません。
なので、結局何をやればいいのかわからなくなり、結果「何もしない」という状況になっているように思います。
③ですが、自分のやりたいことをやるので、例えば社会であれば社会ばかりやる、という風になってしまっています。
「長所を伸ばす」という意味ではいいかもしれませんが、「5教科をバランスよく学ぶ」という面からすると、効率の悪い勉強法になってしまっています。
ほとんどの生徒が高校に進学する、という現状から見ると、高校の選択の幅を逆に狭めてしまう結果になりはしないか。そう危惧しています。
「放置」になっていないか?
こうした状況を見ていると、「自主性を伸ばす」というよりも、単に「放置」されているような気がしてなりません。
小中学生の、特に勉強があまり得意でない生徒に「自主性」を求めるのは厳しいと思います。
もし「自主性」を求めるならば、ある程度の「型」を見せてあげる。そのくらいのサポートは必要なのでないでしょうか。
広がる「学力格差」
今のままだと、「学力格差」は確実に広がっていきます。
勉強が得意な生徒は自分である程度組み立てて勉強を進めることができます。
勉強が苦手な生徒でも、お金をかけられる環境にあるお子様は、塾などで補完することができます。
「塾屋」としては、大変ありがたい状況なのかもしれません。
ですが、一人の大人として、子どもたちの「学力」という面を考えると、今の状況は非常に危険。そう感じています。
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