個別指導は「成績が上がりにくい」
2023/6/13
塾業界の「裏話」
今日は、塾業界の「ウラ」の話です。
先日、塾講師向けのセミナーに参加しました。
某大手個別指導塾の、フランチャイズオーナーをしていた方でした。
正直、ピンとくる話はあまりなかったのですが、「本音」で語る人でした。
その方が、ポロッと、このようなことをおっしゃっていました。
「(某大手の)今の個別指導のやり方では、成績が上がらないのは、皆さんも感じていらっしゃるでしょう」
あ~あ、言っちゃった…。
聞いていてそう思いましたが、
「実際に現場でやっていた人でも、そう感じていたんだな」
ということを思いました。
個別指導の問題点
私は以前、個別指導の塾に勤めていました。
自分は個別指導の塾に通ったことはなく、塾といえば、いわゆる「集団塾」の形式が普通だと思っていました。
なので、生徒を細かく指導することができる「個別指導」というのは、非常に効果的、と思っていました。
ですが、勤めていくうちに、「う~ん…」と思うようになります。
それは、
「自分が思っていたよりも、生徒の成績が上がっていかない」
ということでした。
「なんで成績が上がらないのかな…」
と思い、どのように講師が指導しているのかを観察するようになりました。
観察を続けていくうちに、
「これじゃあ、成績が上がらないのも仕方ないな…」
と思うようになります。
個別指導の一番の問題点。
それは
「生徒が講師に依存してしまう」
という点です。
一見するとよさそうだが…
「個別指導」なので、生徒と講師の距離は近いです。
なので、生徒は気軽に講師に質問できます。
質問があったので、講師は生徒に丁寧に教えます。
実は、ここに問題が潜んでいます。
「わからないところを、丁寧に教わるのだから、むしろ問題ないんじゃないか」
そう思われるかもしれません。
ですが、あまりにも気軽に質問することができるために、生徒自身が
「自分の頭で考える」
という機会を、奪ってしまっているのです。
テストを受けるのは当たり前ですが、「生徒自身」です。
その生徒が、自分で考えることをしない。
講師に聞けば、丁寧に教えてくれるので「わかった気」にはなります。
ですが、いざ実際に、自分ひとりで問題を解く、という段階になると、自分で考えていないから、解けない。
そこで、また講師に質問する。
で、講師が答える。
この繰り返しです。
このように、生徒自身が考える力を奪ってしまうおそれがあるため、「個別指導」では、「成績が上がりにくい」ということが言えるのだと思います。
親しみやすい講師ほど…
講師の中でも、ベテランの講師は、そうした問題点がわかっています。
なので、大事なところだけは説明しますが、あとは生徒にひたすら演習をさせています。
一見すると、
「ただ生徒の問題を解いているのを眺めているだけ」
のように見えますが、実は
「生徒自身が考えることを促している」
ということに気づきました。
このように、「うまく生徒に考えさせることができる講師」であればいいのですが、個別指導の場合、どうしても、「講師の人数」が必要となります。
そうすると、「学生講師」の割合が高くなります。
学生の場合、生徒との年齢的な距離が近いので、ベテラン講師と比べると、生徒から見れば親しみやすいです。
また、学生で「講師をやりたい」と思っている人の多くは「教えたがり」です。
なので、生徒から質問されると、ついつい「教えすぎてしまう」傾向にあります。
そのため、生徒がどんどんと講師に依存していってしまう。
その結果、「成績が上がらない」ということになります。
自分の頭で考える
他にも問題点はあると思いますが、自分が感じた一番の問題点は、以上の通りになります。
そうした現実を目の当たりにしていたため、
「自分が塾をやる時には、『生徒に考えさせる』ような指導をしよう」
ということで、今の指導スタイルをとっています。
塾を検討されている多くの方は、
「教えてもらえれば、成績が上がる」
と考えています。
ですが、実際に成績を上げるのは、
「生徒自身」
です。
「いかに生徒自身が、自分の力で考え、問題と向き合うか」
この部分をしっかりと鍛えなければ、どんなにわかりやすい説明を聞いても
「わかったつもり」
になるだけで、成績は上がりません。
塾に通う、通わないは別にして
「自分の頭で考える」
ということを、まず一番大切に考えてほしいな、と思います。
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