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猿田塾

「コスパ」に潜む罠

2024/6/20

最近の若者は

「最近の若者は『コスパ』重視」

という話を、チラホラと聞きます。

「いかに短時間で成果を上げるか」

ということを重視していて、無駄なことをやりたがらない。

ということです。

私自身も、どちらかと言えばそういった傾向があります。

なので、「コスパ重視」という若者の考え方の方が、むしろ親近感がわきます。

その一方で

「ただ『コスパ』だけ追求するのも、考えものだな」

と思う部分もあります。

ラクして身につけたものは

それは生徒を指導していると感じます。

たとえば、数学の計算の中に

「円すいの表面積を求める」

という計算があります。

一般的な考え方は、

円すいの展開図から「おうぎ形」「円」の面積を求める

という流れになります。

塾では、まずこちらの解き方を教えます。

しかし、これはかなり計算が面倒です。

そこで、裏技的に

円すいの「母線」と、円の「半径」さえわかれば、簡単に出せる

という解き方もあります。

これだと、かなり簡単に解けます。

生徒たちに、こちらの裏技的な解き方を教えると、とても喜びます。

「苦戦していた円すいの表面積の計算が、こんなに簡単に解ける」

と。

「こんなに簡単な解き方があるのであれば、もっと早く教えろ」

という、生徒たちの声も聞こえてきそうです。

ですが、この裏技的な解き方には「欠点」があります。

それは「長く覚えていられない」ということです。

教えた直後は解けるのですが、少し間隔を置いてから、同じような問題を解かせてみると、まあ解けない。

「母線と半径をかけたら、何かが出る」

ということは、なんとなく覚えています。

ただ、その計算が

「円すいの表面積」を求める上で、どのような意味があるのか

という点がきちんとわかっていない。

そのため、結局答えが出せない。

そうした生徒を何人も見てきました。

こうした状況を何度も見るたびに

「ラクして身につけたものは、失うのもまた早い」

ということを痛感します。

遠回りに見えても

なので、塾では、あえて時間がかかる解き方を教えるようにしています。

その時は遠回りに思えても、長い目で見れば、そちらの方が定着するからです。

「あーだこーだ」と、自分なりにあれこれ考えることは、無駄が多いことかもしれません。

ですが、自分なりにあれこれと試行錯誤して身につけたものは、一度身につけたら失われることがない。

そのように感じています。

確かに「無駄なこと」を省いて結果を出す、という考え方は重要です。

私自身も、「無駄」が大嫌いなので、そうした考え方の方が好みです。

ただ、その一方で

「無駄なこと」を通して学ぶ

ということも、生きていく上では大事な時もある。

そのように思います。

特に若いうちには、遠回りをしながら色々な経験をしておく。

そのことが、歳を重ねていく中で、貴重な「経験」として積み重なっていくような気がしています。

失敗を恐れない

今の若い子たちは、極端に「失敗」を恐れている気がします。

それは、子どもたちの責任というよりも、我々大人の

「子供には失敗をさせたくない」

という無言のプレッシャーを、子どもたちが感じているからではないか。

そのように思います。

簡単に言えば、

「親が子供に手をかけ過ぎ」

ということです。

なので私は、あえて生徒たちには教えず、なるべく「自分で考える」ようにさせています。

当然そうすれば、「間違える」「失敗する」ことが増えます。

ただ、その「間違える」「失敗する」ことから、何を感じ、どのように行動していけばいいか。

生徒たちには、今のうちに、そうした経験を通じて、「自分で考える力」を身につけていってほしい。

そう思っています。

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