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デジタル教科書は、本当に子どものためになるのか

2026/4/13

デジタル教科書、採用決定

政府がデジタル教科書を正式な教科書として位置づける方針を打ち出しました。

便利さという点では、確かに魅力があります。

音声や動画を使えること、持ち運びが軽くなること、紙とデジタルを組み合わせた学びができること。

文部科学省も、語学学習や実験の手順確認などで学習効果を高められると期待しています。

ただ、現場で子どもたちを見ている立場からすると、私はこの流れを手放しでは歓迎できません。

「便利であること」と、「学力がつくこと」は別だからです。

「発音」は聞けるが…

たとえば英語です。

デジタル教科書の利点として、ネイティブ音声を聞けることがよく挙げられます。

もちろん、それ自体は悪いことではありません。

私自身、当初教科書についている「QRコード」を使って英語の発音を聞いた時、

「なんて便利な機能なんだ!」

と、感激しました。

ですが、肝心の「生徒指導」という場面では、活用ができずにいます。

教科書の隅っこに「QRコード」が虚しく載っているだけ

という状況になってしまっています。

確かに「QRコード」を使うと、流暢な発音が聞けます。

ですが、どんなに流暢な発音を聞いても、その音をうまく認識できない子がいます。

特に英語が苦手な子ほど、「今なんと言ったのか」がわかりません。

結局は「何を言っていたのか」わからないまま、聞き流して終わってしまうことが少なくありません。

そういう子にとっては、まず「こう聞こえる」という補助が必要です。

「きれいな発音をそのまま流せば、子どもたちは理解できる」

というほど、日本人にとって英語は簡単なものではありません。

特に中学から本格的に英語を学ぶ子どもたちにとっては、むしろ

紙に書かれた「カタカナ」の補助や、教師の「カタカナ読み」

の方が助けになる場面が多い、というのが現場の実感です。

思考が「限定」される

また、デジタル機器には

「画面の中に思考が限定される」

という弱点もあるように思います。

これはデジタル教科書とは少し違いますが、iPadなどの端末に書き込んで学ぶ場合に感じます。

iPadに書き込むと、消したり元に戻したりするのには便利です。

その一方で書くスペースが限られます。

そうなると、「発想の幅」が限定されてしまうような感覚になります。

紙の場合は、別の紙に書いて並べたり、他の紙をくっつけたりすることで、発想が物理的も広がります。

なので、「何かを発想する」という作業をする時、私は今でも「紙」に書くようにしています。

「デジタル教科書」になると、こうした「発想の展開」ができなくなってしまうのではないかと危惧しています。

「トラブル」に弱い

さらに、現実的な問題として、デジタル機器はトラブルに弱いという点も見逃せません。

故障、充電切れ、通信不良、ログインエラー。

こうした問題が起きれば、その場で学習は止まります。

紙の教科書なら、多少しわくちゃになっていても、とりあえず読めます。

けれど端末はそうはいきません。

子どもたちの教科書やノートの扱いっぷりを間近で見ていると、

「デジタル教科書を、毎日きちんと壊さず管理することができるのか…」

と不安になることがあります。

「使い方」が重要

もちろん、私はデジタル教科書を全否定したいわけではありません(限りなく全否定に近い立場ではありますが…)。

補助教材として、あるいは限定的な活用としては、力を発揮する場面もあるでしょう。

実際、今回の制度改正も、紙だけ、デジタルだけ、併用型の三つを選べる方向で進められているようです。

だからこそ大事なのは、

「新しい物だから」
「デジタルだから」

と、安易に飛びつかない、ということです。

教育で問われるべきなのは、

「新しいか」
「便利か」

どうかではなく、

「子どもの理解に役立つか」
「力を伸ばせるか」

という部分です。

そして、忘れてはいけないのが

「実際に教えている現場で、無理なく回すことができるか」

です。

「子どもたちに有益か」を常に考える

デジタル教科書が正式な教科書になる時代に入ろうとしています。

これからも技術の進歩により、最新の技術が教育に導入されていくことでしょう。

しかし、

「新しい技術を導入しさえすれば、問題が一気に解決する」

というほど、教育は単純なものではありません。

最新の技術を使うよりも、古臭いかもしれないが、「紙と鉛筆」だからこそ育つ力がある。

子どもたちの様子を見ながら、「新しい」「古い」にこだわらず、常に「最適解」を求めていく姿勢。

我々に求められているのは、そのような謙虚な姿勢のような気がしています。

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