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「大学進学実績」を見て感じていること

2026/7/3

「最大限の努力」ができたのか

毎年のように各高校の大学進学実績を見るたびに、考えることがあります。

それは、

「果たして、その高校生たちのポテンシャルを、最大限に発揮させてあげることができたのだろうか」

ということです。

もちろん、大学進学実績だけで高校の価値が決まるわけではありません。

高校生活では、勉強以外にも大切なことがたくさんあります。

部活動、友人関係、アルバイト、地域とのつながり。

そうした経験を通して成長することも、高校生活の大切な意味だと思います。

ただ、進学実績を見ると、どうしても考えてしまいます。

「この生徒たちは、本当に自分の力を出し切ったのだろうか」
「大学入試を意識できる環境が身近にあれば、結果は変わったのではないか」

そんな思いが浮かびます。

首都圏の高校生は必死に勉強していた

以前、横浜の塾で働いていたことがあります。

そのときに感じたのは、首都圏の高校生たちの「意識の高さ」でした。

みな、必死に勉強していました。

もちろん、全員が全員そうだったわけではありません。

それでも、大学入試に向けた空気感は、地方とは大きく違っていました。

「現役で合格しないと家計が苦しいから、確実に合格できそうな大学を受験する」
「現役で大学に合格できなければ、専門学校に進まなければならない」

そうした事情を抱えながら、必死に勉強している生徒もいました。

また、周りには、同じくらいの年代で「よき見本となる先輩たち」がいました。

つい1,2年前までは同じ高校で過ごしていた人達が、「大学」という舞台で楽しそうに活動している。

そうした存在が身近にいることで、

「自分も先輩たちのようになりたい」

という空気が、自然に生まれていました。

そのような環境の中で、高校生たちは大学入試に向けて本気で勉強に励んでいました。

そうした高校生の姿を見ながら、私は思いました。

「こうした子供たちと、『大学入試』という同じ競争の舞台で戦ったら、そりゃ地方の高校生は負けるな……」

これは、「地方の高校生の能力が低い」という意味ではありません。

むしろ、能力のある生徒はたくさんいます。

ただ、

環境が違う。
情報量が違う。
周囲の意識が違う。

その差が、「勉強に対する姿勢」の差になり、最終的な結果に大きく影響しているように感じました。

30年前とあまり変わっていない空気

私が高校生だったのは、約30年前です。

当時は、特に自分の高校では

「一浪するのが当たり前」
「4年かけて、上の大学を目指せばよい」

という、どこか緩い雰囲気がありました。

また、「高校に合格する」という明確な目標は立てられましたが、実際に高校に進学すると

「高校に合格した。やったー!」
「大学入試、何それ?」

そうした空気の中で、次の目標を設定できないまま、ダラダラと、何となく、高校生活を過ごしてしまいました。

自分と同じような高校生は多かったように思います。

あれから30年。

30年も経てば、少しは雰囲気が変わっているのではないか。

こちらに帰ってきた当初は、そう思っていました。

しかし、今の高校生の様子を見ていると、残念ながら根本的な部分は、あまり変わっていないように感じます。

もちろん、高校側も工夫されています。

大学見学を推奨したり、進路講演会を行ったり、早い段階から進路について考えさせる取り組みが増えています。

それでも、

「高校に合格したら、そこがゴール」

という空気は、まだ残っている。むしろ強い。

そのように感じています。

「高校入試で一度燃え尽きてしまい、その後の大学入試に向けた目標をうまく設定できない」

これは、私が高校生だった30年前から続いている、地方の大きな課題の一つではないかと感じています。

「知らない」だけで不利になる

生徒たちを見ていると、時々思うことがあります。

「もし、この生徒が生活する場所が違っていたら、もっと別の進路を選択できたかもしれない」
「もっと早く大学入試について知っていれば、真剣に勉強に取り組んでいたかもしれない」

地方では、大学入試に関する情報に触れる機会が少ないことがあります。

「知らない」「分からない」だけで、不利になる。

これは、本当にもったいないことです。

こうした地域格差を少しでもなくしたい。

そうした思いもあって、私は地元に戻り、塾を始めました。

しかし、現実は厳しいです。

開業して10年が経ちましたが、地域全体の状況を変えることは、「まったくできていない」と感じています。

当初自分が思っていた以上に、

「高校生を取り巻く、全体的な空気感」

の波は高く、そして険しいものでした。

一人では流れを変えられないのかもしれない

最近、

「自分はいつまで塾講師として働くことができるのか」

と考えることがあります。

長くても、おそらくあと20年くらいだと思っています。

この10年は、本当にあっという間に過ぎていきました。

そう考えると、残りの20年も、きっとあっという間に過ぎていくのでしょう。

その中で、自分に何ができるのか。

「自分一人だけでは、この大きな流れを変えることはできないのかもしれない」

と、限界を感じることがあります。

目の前の生徒一人一人に対してできることはあります。

勉強の仕方を伝えること。
早い段階から進路について考えさせること。
高校に入ってからも学び続けることの大切さを伝えること。

しかし、「地域全体の空気を変える」となると、それは簡単なことではありません。

「塾一つで変えられるほど、単純な問題ではないのだな」

と、10年経って、改めて感じています。

ずっと心に残っている言葉

塾を開業する際、高校時代の友人が東京で送別会を開いてくれました。

そのとき、高校の先輩から言われた言葉が、今でもずっと心に残っています。

「自分は、高校に合格したらそこがゴールで、次の目標を見つけられずにダラダラしてしまった。そうした地方の状況を変えられるように、頑張ってほしい」

その言葉を聞いた時、

「本当にその通りだ」

と、自分の心が奮い立ったのを覚えています。

地方にいても、もっと上を目指せる。
高校合格で終わりではなく、その先の目標を持てる。

そういう環境を少しでも作りたいと思いました。

しかし、今振り返ると、その期待に十分応えられているとは言えません。

むしろ、まだ何もできていないのではないか。

そう感じています。

これから何ができるのか

大学進学実績を見るたびに、地方の高校生を取り巻く環境について考えます。

能力がないわけではない。

ただ、「不利な環境が整っている」。

その結果、別の場所であればもっと伸びるかもしれなかった生徒が、力を出し切れないまま進路を決めているのではないか。

そう思うと、やはり悔しさがあります。

一人で地域全体を変えることは難しい。

ただ、自分に残された時間の中で、今後何ができるのか。

そのことを考え続け、行動していければと思っています。

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