行間を読み取る
2022/1/12
国語で難しいことの1つに「行間を読み取る」ということがあります。
最近、生徒の解答を見ていて、このことを痛感することがあったので、そのお話しをしようと思います。
文の意味は理解しているが…
英語の、長文読解の過去問を解かせていた時のこと。
普段であればそれほど間違えない生徒だったのですが、その問題は、いつもよりも多く間違えていました。
「英文の内容がきちんと訳せなかったのかな?」
と思い、全文を和訳させてみました。
すると、特におかしな訳をしている部分も見当たらない。
「なんでこんなに間違えているのだろう?」
そう思いながら、さらに細かく解答のチェックを進めました。
すると、「筆者がこの文章で言いたかったことは、どのようなことか」という、その長文問題のまとめ問題のような設問がありました。
長文のテーマと筆者の主張
長文の内容は、「バナナの皮や葉を工夫することで、プラスチックのゴミを減らすことができる」というものでした。
このテーマを抽象化すると、「身の回りのものでも、工夫をすれば、地球環境に役立つものに変えることができる」となります。
これが、筆者の言いたかったことであり、解答もこちらの選択肢が答えになっていました。
この問題を生徒が間違えていました。
「どの選択肢と間違えたのだろう?」
と思って確認すると、
「バナナの皮や葉はとても便利である」
という選択肢を選んでいました。
「う~ん、そう取ったか…」と思いました。
表面的な理解をしてしまう
このような間違えをする生徒は結構います。
「具体例」として挙げている事項を、「それが筆者の言いたいことの全てである」と判断する。
そして、その裏にある「本当にその筆者が言いたいこと」が理解できない。
そうした生徒が見られます。
これは特に「国語」を苦手にする生徒に多く見られます。
そして「国語」を苦手にする生徒は、英語も苦手にすることが多いです。
それはおそらく、「筆者の言いたいことを、きちんと読み取ることができない」からではないか。
今回の生徒の解答を見て、そのように思いました。
国語が苦手な生徒は、英語も伸び悩む
確かに、国語が苦手な生徒で、英語が伸び悩むのは、中3になってから特に顕著に見られます。
中3になると、テストで長文読解の問題が増えてきます。
中2までは文法理解の問題が中心です。なので、文法の仕組みを覚えてさえおけば、ある程度の点数が取れました。
ですが、長文読解となると、ただ訳すだけでなく、その訳から「筆者の言いたいこと」「その文章で何が言いたいのか」という部分を読み取る必要が出てきます。
そのため、表面的に訳すことができても、「ではそこから、筆者が何を言おうとしているのか」ということが理解出来ずに、間違えてしまう。
そういうことではないか、と思います。
「行間を読む」と言っても…
では、「行間を読み取る」にはどうすればいいのか。
これは非常に難しい問題です。
つい先日、塾の先生が話をしているYouTubeの動画を見ました。その中で、
「読解力といっても、結局は『他の人の言いたいことを理解すること』だから、友達や周りの人達との交流がなければ、身につけたり、理解することはできない」
という趣旨の話をされていました。
私自身もそう感じるところがあります。
「国語が苦手だから」ということで、塾に通わせて、問題を解かせればなんとかなるのか、というと実はそうではない。
それよりも、もっと「普段の会話」というか、人間関係を通して学ぶべきことがある。
そういう気がします。
「話をする」ことも大事
国語が苦手な生徒は、話してみると、「自分の意思を、人に伝えるのが下手」という印象を受けます。
話を聞いている中で、
「あなたは、一体何が言いたいのかな?」
そう感じることが多々あります。
「自分の話を聞いてもらう、という経験が少なかったのかな?」
そのように感じることもあります。
なので、そうした生徒に対しては、とにかくまず「自分の考え」を話させるようにしています。
この時、頭ごなしに「否定」することはダメだと思います。
生徒が萎縮して、言いたいことが言えなくなるように思います。
最初のうちは、多少おかしくてもどんどん話をさせる。その中で「こうした表現の方が伝わりやすいよ」という部分があったら、それをそのまま伝える。
そうして、少しずつ相手に伝わりやすい表現を身につけさせていくのがいいと思います。
基本的なコミュニケーションを大切に
こうした「コミュニケーション」の部分は、社会に出てから、非常に大事になってくると思います。
「国語を伸ばす」ことを考えた場合、ある程度の読解練習はもちろん必要です。
そもそも「本を読む」という習慣がある生徒が少なすぎるので。
ですが、それ以上に人としての「コミュニケーション」、もっと言えば、「人と人とのつながり」「社会とのつながり」というものも、大事にする必要があるのではないか。
生徒の解答を見ていて、そんなことを感じました。
☆YouTubeチャンネルもやっています
https://www.youtube.com/channel/UCcorE8DZR8FqA_EX2tlHo-A/featured?view_as=subscriber
ぜひご覧ください。